11月2日 10時50分
ハシボソの次男(左)と末っ子がエサ台に来た。この二羽は一緒に行動していることが多い。
彼らのお目当てはエサ台の豚肉。
お父さんに見つかる前に奪い取るのだ。
遅れて登場したのは長男。
先陣を切った末っ子。
急いで豚肉を拾いあげる。
後ろからミサイルのように飛んでくる長男。
「着弾!!」
末っ子を蹴散らしたものの、
残った豚肉はほんの少しだった。
カラス同士の餌の取り合いは一瞬で勝負が決まる。今の一連のシーンでわずか3秒ほどなので、普通の人が見ても何が起こったのか分からないだろう。
それにしても、長男はハシブトガラスのようなゴツイ佇まいである。見るからに強そうだ。すでにお父さんの体格を追い越したが、これでもまだ巣立ちから半年足らずの子ガラスだ。
屋根にいる次男と比べても体格とクチバシが一回りデカい。
長男はイライラしている。
長男がいきなり次男に襲い掛かった。
長男はすでに、縄張りを意識するまでに成長したのだ。たくましいというか、まだ子ガラスなのに攻撃的な性格だ。
みんなイライラしているようなので、
エサ台にドッグフードを追加した。
最初に来たのはお父さんだ。さっきの豚肉争奪戦のときは姿を見なかったが・・・。
屋根にいるのは左が次男、右が末っ子だ。
末っ子はエサ台に突入するタイミングを見計らっている。
お父さんに軽く威嚇されて退散・・・。
そこに長男が登場。他の兄弟とは存在感が違う。
カラス界のジャイアンといったところだ。
ジャイアンが顔をしかめているが・・・?
奥底からこみ上げるものがあるのか?
来るぞ・・・、
「ゲボーッ」と、胃の中のモノを吐き出した。
これは彼が具合が悪いのではなく、カラスに頻繁にみられる行動だ。カラスに限らず鳥類は、消化に悪いものを食べたときに吐き出すことがあるのだ。カラスの場合はそれ以外にも、その前に食べたモノより良さそうなモノが現れると、消化中のものを吐き出して胃袋を空にし、次の食事に備えるという特技を持ち合わせている。
これは人間社会においても、居酒屋などで類似した行動が見られる。
そして吐しゃ物から肉だけを摘まみ出した。
さっき末っ子と奪い合った貴重なタンパク源だ。
それ以外のモノは屋根から転がり落ちた。
兄弟たちが近寄ってきたが、これは嘔吐した長男を心配して寄り添っているのではなく「さらに良いモノが出てくるのではないか」と期待しているのだ。
兄弟たちはお父さんが食べる様子を注意深く見守っている。いくら図体がデカくなった長男でも、親子間の序列はまだ超えられないのだ。
やはりお父さんは大人のカラスだ。落ち着いた雰囲気は子ガラスたちとは別格である。
しかし兄弟間の序列では長男は最強。
邪魔な末っ子を威圧しはじめた。
ジャイアンは兄弟を牽制しつつ、突入のタイミングを計かる。
お父さんがエサ台に背を向けると、長男と次男がなだれ込みドッグフードをむさぼる。お父さんはあえてドッグフードを子どもたちに残したようだ。
末っ子はお父さんから貰うつもりで屋根に待機している。
甘えた声を発してお父さんにエサをねだっている。
「他を牽制し奪い取る長男」
「状況を見極め静かに待つ次男」
「甘える末っ子・・・」
兄弟間でもずいぶん性格が異なるが、
生存競争を生き抜くのは誰だろうか。
<本日のオマケ>
長男が屋根から落としたペレットを探してみよう。
確かこの辺に落下したはずだが・・・、
「あった。」
消化が進んでいて分かりにくいが、小さな昆虫の破片の他、貝殻が混ざっている。池で貝をとったのだろうか? 木の実は消化されずにそのまま残っている。これを見る限り、すでに長男は採餌能力を充分に備えているようだ。
このような鳥の吐しゃ物はペレット(pellet)とよばれ、鳥の行動範囲を探すと見つけることができる。鳥類は歯がないため食べ物を砕くことができない。そのため、とりあえず胃の中に放り込んで、消化できないものは後でまとめて吐き出すのだ。歯がない鳥類に備わった独特の消化方法といえる。
ちなみに、我が家のカラスは消化の良いモノばかり食べているので吐き出すことは少ない。しかし、おもわぬタイミングでご馳走を目にすると、それまでに食べた消化中のものを吐き出すのだ。これはペットのカラスに限らず、先程の長男のように野生のカラスにも見られる行動である。
2025年11月3日 公開