今年はハシボソ夫婦が庭で巣作りをしなかった。 昨年、私が執拗に観察したためだろう。
だがしかし、巣の材料を運んだり交尾をしている姿を目撃するなど、 どこかで営巣しているのは間違いないのだ。
そこで私は近所をくまなく探してみることにした。 街中のカラスの縄張りなど、広くても半径300mくらいだろう。
そして先週の日曜日。
私はついに発見したのだ。しかもこの画像のド真ん中に。
分かるだろうか? いや絶対に分かりません。
望遠レンズでズームアップしてみると・・・。
そう、遠くの送電線の一番上の塔体内である。
周囲の大木を中心に巣を探していたが見つからず、 諦めて家に帰り部屋で寝そべって鉄塔を見ていると、 何となく違和感をおぼえる。
双眼鏡で確かめるとカラスの巣だ。
だが今はお留守のようだ。
巣に戻ってくるはずなので、根気強く待つことにした。
すると左下の電柱にカラスが止まった。 落ち着きなく羽を小刻みに揺らす癖。
そう、あれは間違いなくハシボソのお母さんの方だ。
辺りを警戒しているようだ。
そして鉄塔の下の方から塔体内を垂直に上ってくる。
途中の鉄骨に止まり、辺りを警戒している。
そして今度は塔体の外に出て再び垂直に上る。
ところでカラスはヘリコプターのように垂直に離陸することが可能だが、 なかなか器用な飛び方である。
巣が見えてきた。
巣に到着し辺りを見渡している。
こんなに遠回りせずに空から直接、巣に戻ればよいのでは? と思うかもしれないが、 これは巣の位置を外敵に発見されないための行動だろう。
すると突然、巣から飛び出す。
鷹が巣に迫ったのだ。
このあと鷹の背後に追いつき背中に蹴りを入れていた。
さっきまで、あんなに巣の位置を悟られまいと細心の注意を払っていたのに・・・。、 敵が来たからといって巣から直接飛び出したら意味がないだろう。
抑えきれない防衛本能がチグハグな行動として現れるのだ。
あの鉄塔から我が家の庭まで300mある。
私の観察によると、このハシボソ夫婦の縄張りはあの鉄塔辺りが南の境界で、 我が家の北側にある門が北限、そして画像左の森の中は今、 ハシブトガラスの縄張りになっているので、実質この庭が東の境界、 そして西側は池の対岸の畔までだ。 広さは南北に350m、東西に200mの楕円形の範囲だが、 縄張り内には池と我が家の庭があり餌が豊富であるため、 良好な場所を確保していると思う。 そしてそれを数年間も守り続けているのだ。
今年も私の部屋から観察できる位置に巣を作ってくれたハシボソ夫婦。 だが、ちょっと遠すぎて私のカメラで詳細な画像を撮るのは無理である。 そこで一眼レフに取り付ける800mm超望遠レンズを購入しようと考え、 つい先程、ニコンのホームページを閲覧した私は愕然とした。 当初、ホームページをさらっと閲覧して「なんだ20万円か、これなら買おうかな」と、おもった。 だが違和感を覚え、もう一度「一、十、百、千、万・・・、」と数えてみる。 お値段、なんと! 200万円也! びっくりした。私には無理だ。
カラスが電柱に巣を作ると停電の原因になる。危険だ! 撤去だ! と、なりそうだが、 見ての通り電線から離れていれば大丈夫である。 送電鉄塔の塔体内は安全領域であり除去の対象にはならない。
鉄塔は電力会社の所有物だから、私有地からの巣の撤去は自由だろう? と、思う方がほとんどだろうが、違うのです。 鳥獣保護管理法はあなたの自宅の庭にまで及ぶのです。
私有地においても卵やヒナがいる巣を撤去することは法律違反となる。 正当な理由がある場合のみ撤去の申請を通すことができるのだ。
その正当な理由とは「威嚇された」などでもよく、
カラスの場合は実質、申請すればほとんど通ってしまうのが現状でしょう。
(*自治体により判断基準は異なります。)
ハシボソ夫婦の巣が撤去されないことを祈るばかりである。
2017年4月23日公開