暖かくなったり豪雨になったりと変な天気が続いたが、例年より遅れながらも草木は目覚めた。
ようやく、動物たちにも穏やかな春がやってきた。
4月6日 朝7時10分
ハシボソのお父さんが巣に戻ってきた。
巣の中で抱卵中のお母さんは上体を起こし、お父さんから食べ物を受け取った。
産卵したのが3月16日だったので、そろそろ孵化してもよいころだが・・・。
あっ、食べ物を受け取ったお母さんが巣から出てきた。
今から出かけるようだ。
巣の中の様子は見えないが、自分が食べ物を受け取ったことから、この時点でまだ卵が孵化していないことは確実だ。
そしてお母さんと入れ替わりで巣の中に入るお父さん・・・。
この行動を見るたびに不思議に思う。なぜなら、カラスは「雌だけが抱卵する」とされているのに、この状況を見ると「カラスは雄も抱卵する」ということになるからだ。しかし巣の中を撮影できないので確かなことは分からない。
こんなに写真の解像度は高いのだが、下からの観察では巣の中の様子がほとんど分からないのだ。実に歯がゆい。何とか巣の中を見ることができないか、この時期はいつもそんな願望にかられるのだ。
ドローンを飛ばす、鉄塔に登る、鷹にカメラを付けるなど・・・。
どれも現実味の無いものばかりで妄想に終わるのであった。
最近ではそのような考えは捨て、彼らの行動を分析して巣の中の様子を推測することに集中している。
4月10日 18時15分
もうすぐ日没。辺りは薄暗くなり、カラスたちの一日も終わろうとしている。
鉄塔の頂部で見張りをするのはハシボソのお父さんかな?
よくみると、それは獲物を探すオオタカだった。
その真下ではハシボソのお母さんが抱卵中だが、オオタカを相手に接近戦では勝ち目が無い。おそらく息を潜めてオオタカが立ち去るのを待っているのだろう。
オオタカは獲物に狙いを定め急降下していった。
オオタカを見送るハシボソのお母さん。
生きた心地がしなかっただろう。
4月13日 朝6時5分
朝早くからエサ台で待っているのはハシボソのお父さんだ。キョロキョロと家の中を覗き込んでいる。
この行動からわかるのだが、おそらく卵が孵化したのだ。それで多くの食べ物を必要としているのだろう。
普段はプライドが高く人に媚びることのない彼だが・・・。
卵黄を置くと、急いでのど袋に詰め込んだ。
4月14日 朝7時20分
お父さんが食べ物を運んできた。
いそいそと巣に向かい、巣の中を覗き込んでいる。
あっ、右側にお母さんの尾羽が見えた。お母さんはずっと巣の中にいたようだ。夫婦で巣を覗き込んでいる。この行動から、すでに卵が孵化していることは確実だ。
おそらく4月12日から14日にかけて複数の卵が順に孵化したのだろう。
さて、ここからが子育ての本番。ハシボソ夫婦の忙しい日々が始まるのだ。
2024年4月14日 公開