今回はFRP防水床を施工する。 技術的には簡単だが、床に施工する場合、やり直しができないので失敗が許されない作業だ。 また、途中で中断もできないので、入念な準備が必要になる。
これまでの行程→ カラス小屋の制作2017
金曜日の夕方から作業を始める。
まず最初に、プライマーを塗り込む。
キシレン特有の強烈な臭いで頭が痛くなる。
時間をかけずに素早く作業する。
プライマーは土台の材質別に種類が分かれており、
今回は木材用を使用する。
プライマーは直ぐに乾く。
つづいてガラス繊維を敷き詰める。
土台の端の部分にはハサミでカットした部分を当て、
その他の部分は手でちぎり、
ちぎった端同士をこうして重ね合わせる。
ガラス繊維は非常に細く脆い。
画像で見ると髪の毛くらいに見えるが、
最小単位の繊維はそんなものではなく、
桁違いに細い。
これが、ちぎった時に分解して空中に舞い上がり、
知らない内に衣服に付着し、チクチクと肌に刺さる。
DIYでFRPが敬遠される理由の一つだ。
FRPの主体となる樹脂を浸透させる。
画像の上の方は、樹脂がガラス繊維に浸透して透明になったところ。
そう、ガラス繊維は白く見えるが、光の屈折でそう見えるだけで、
液中に浸かると本来の透明になるのだ。
樹脂の種類は不飽和ポリエステル。化学の講義で頻繁に耳にするポリマーだ。
硬化剤を入れると短時間で重合が加速(硬化)するので、
1Lずつ作りながら作業を進める。
作業は日没後まで掛かった。そして一夜明けて土曜の朝。
カチカチに硬化している、
はずだった・・・。
だが、昨夜私は、致命的なミスを犯していたのだ。
そう、樹脂を4回に分けて作ったが、途中で一回、
硬化剤を入れ忘れたのだ。
絶対にやってはいけないミスだが、
樹脂を扱う職人は、一生に一度はやるとおもう。
例えるなら、鍋にお湯を入れるのを忘れて火に掛け、沸くのを待つような感じ。
それぐらいマヌケ。
昨夜、作業しているときから何となく、
樹脂の粘度に違和感を覚え、
硬化剤を入れ忘れたかも?と、思った。
だが、こういう場合は余計な処置をするよりも、
そのまま最後まで進めた方が良い。
そして後で、硬化剤の入れ忘れたエリアを剥ぐのだ。
そこだけ固まらずにブニュブニュなので、こうして簡単に剥がれる。
剝ぎ終わるとこのように、
陸地と海のようにハッキリと硬化剤を入れ忘れたエリアが浮かび上がる。
剥いだ後はアセトンで未重合の樹脂をふき取る。
この時、使用したアセトンは1L。
この規模なら良いが、
大型バルコニーの施工でやらかしたら大損害だろう。
次に二層目の作業に移る。
やることは一層目と同じ。カチカチに固まった樹脂の上にもう一度、
ガラス繊維を敷く。
この転圧ローラーというもので、樹脂を染み込ませながら、 空気を抜いていく。 空気が抜けると繊維が透明になる。
樹脂の硬化を待つ間、外のきれいな空気を吸う。
樹脂は臭いのだ。
最近、天気の良い日は庭にモズがやってきて、
こうして地面をキョロキョロと見わたし、獲物を探している。
実に落ち着きの無い鳥だ。
カメラを向けると、モズもこちらを見る。
可愛い小鳥だが、獲物に対して残酷な仕打ちをするらしい。
昨年、「MOZU」という、つまらない刑事ドラマがやっていたが、
その時に「モズの速贄」という、
捕えた獲物を枝に串刺しにする、という習性が紹介されていた。
ドラマ自体は退屈だったので途中で観るのを止めた。
完全に硬化するまでの間に、木の継ぎ目をコーキングする。
コーキングガンでシリコンを塗付けて、コテで整える。
本当はマスキングするが、ここは省略。
木の接合部の隙間に水が溜まるので、
このような部分は埋めた方が良い。
樹脂が硬化したら、軽くペーパーを当てて下地を整え、
トップコートを塗る。
この塗料は非常に粘度が高く、文字通りベタヌリ状態である。
厚くベッタリと塗る感覚はとても気分が良い。
そして一夜明けて今日の朝。
塗り終えて硬化した状態。
きれいなグリーンの床になった。
FRP二重層の床は固く、まるでコンクリートのようだ。
すこしボコボコしているが、
きれいにしたいのなら、トップコートする前に全面に粗くペーパーをかける。
だがそれは、ガラス繊維と樹脂の粉塵が舞い上がり、
劣悪な作業なのだ。
だから状況が許すのならペーパーがけは最低限に済ませる。
そして、樹脂の端の部分や、 金属の排水口の部分はコーキングで埋める。 FRPは端部が水などに触れないように、こうして保護した方が良い。
木に打ったネジの部分もコーキングする。
このような窪みに水が溜まり、腐食の原因になるのだ。
とにかく、木の部分に水を滞留させないことが重要。
床が終わったら次はウッドデッキを造る。
まずは、こうして足を組み立て、水準器で水平をとる。
そしてデッキ材を等間隔で並べてみる。
目測で並べたら、一気にビス留めする。
非常に簡単な作業であり、時間をかけるところではないのだ。
つづいて、本体と同じ色に塗装した。
良い感じだ。
夏になったらここで、
カラスと一緒にビールを飲みたいね。
今回の作業はここまで。
2017年1月29日公開