少しずつ暖かくなってきた。
庭の地面からつくしが顔を出す。
忘れていたが、我が家の庭は良質なつくしの産地だったのだ。
だが、移動式カラス小屋から無尽蔵に排出されるカラスのフンのおかげで、 何だか汚染されているような気がして収穫する気にならない。
実際、カラスのフンには何の害も無いのだが・・・
庭に植えたソメイヨシノのつぼみが膨らんできた。
あと、一週間くらいで開花するのだろう。
そうなるとカラスも子育ての季節なのだが・・・。
今春、ハシボソガラスの夫婦は我が家の庭で巣作りをしなかった。
だが最近、夫婦の内、小柄の方のカラスだけでエサを取りに来るようになった。 口いっぱいに餌をくわえている。
おそらく、巣で卵を温めている相方に届けるのだろう。
私の見立てでは、おそらくこの小柄なカラスの方がお父さんだ。 そしてもう一羽の大きい方のカラスが奥さんで、恐妻家である。
そして池の対岸の方に飛んで行く・・・
今年はカラスの子育てに密着し、子育てドキュメンタリーにする予定だったが、 その目標はすっかり頓挫した。
ドローンを購入し、ビデオカメラを設置し・・・
と、いろいろ計画していたが、残念だ。
どこか別の場所に巣を作ったのだろう。
見慣れないカラスが一羽、庭にやって来た。
小柄なハシブトガラスだ。あどけない表情から、昨年生まれた若いカラスだろうか。
庭を散策している
ハシブトガラスなのに、足を交互に出し、軽やかなステップを踏む。
そしてカラス小屋に興味を示す。
縁側に飛び乗り、隙間から中の様子をうかがう。
どうやらこのカラス小屋の状況が理解できないようだ。
「中にカラスが住んでいるようだが、なんで・・・?」
小屋の様子をくまなく見る
「ちょっと、よく分からないね・・・」
屋根から中の様子を見る。
侵入者を察知したハシボソ夫婦がすごい勢いで飛んできた。
ハシボソ夫婦にとってこの場所は、 絶対に守るべき縄張りの中枢なのだ。
強制排除されたハシブト君。どこかに飛んで行ってしまった。
だがしかし・・・、
翌朝、再び姿を現した。
左にいるのはハシボソガラスのお父さんの方。
どうやら一対一では敵わないらしく、 警戒音を上げて強面の奥さんを呼んでいる。
そして相方の声を聞きつけ、助太刀に来た強面の奥さん。
驚いて振り返るハシブト君。
侵入者を縄張りから追い払うのは専ら奥さんの仕事だ。
お父さんはその様子を観ているだけ。
ハシブト君を屋根から叩き落とし、地面で寝技に持ち込む。
右がハシボソの奥さん。
「懲りないヤローだ!これでも喰らえ!」
渾身の飛び蹴りを繰り出す。
飛び蹴りをまともに喰らったハシブト君。
ここで勝負あり。逃げるハシブト君。
逃げ帰るのかとおもいきや、再びカラス小屋のセンターに居座るこの図々しさ。
なんだか面白いカラスに出会った気がする。こいつはすごい逸材だ。 今年の密着取材対象はこのハシブト君で決まりだ。
よく見るとアディにそっくりなマヌケ面だ。
やはりバカな動物というのはマヌケな表情をしているものだ。
一部始終を屋根から観ていたお父さん。
話の通じない相手に、どう対処してよいのか分からない様子だ。
2017年3月26日公開