庭を横断する木製の廊下は2017年に完成したものだが、5年も経たずに寿命を迎えようとしている。安価なホワイトウッドを使用したので仕方ないが、原因はもう一つ・・・。
モンジロウは歩きやすい木製の廊下をドタドタと往復し、頻繁に糞尿を垂れ流すものだから木の継ぎ目から腐ってきたのだ。
完全に腐り落ちる前に新しいものに作り替えることにした。こういう場所には腐食に強い木材を使うのだが、現在はウッドショックで木材価格が高騰している。そこで仕方なくコンクリート製にすることにした。
近所の爺さんに相談し、コンクリート業者を手配してもらうことにした。この爺さんは以前、設計士をしていたので取引業者から業販価格で仕入れができるのだ。
ちなみに、この爺さんは建築士をやりながら趣味で蕎麦屋を営み、その他にも版画、陶芸、古文書の解析など様々な才能を発揮していたが、守備範囲を広げ過ぎてどれが本業なのかよく分からない状態になり、今は半ば隠居の身だ。
さっそく解体に取り掛かるのだが、ネジが錆び付いて外れない。仕方ないのでバールで無理やり分解していく。爺さんも暇だから手伝ってくれている。
屋外で使用するネジはステンレス製にしなければいけないのだが、安価な鉄製を使用したおかげでこのような結果になった。ダメな日曜大工の見本である。
分解した木材は予想以上に傷んでいた。中には虫が巣くっている。
枕木のように見えるのは高価な耐火レンガだ。なぜここにあるのかというと、先ほどの爺さんが陶芸の焼き窯を解体した時に貰ったものだ。
レンガが地面に埋もれているが、よく見ると自重で沈んだのではない。
ヤギのウンコが数センチも堆積していたのだ。ヤギを飼い始めてから3年も経たずにこれだけのウンコが積もったのだ。何だか昨年あたりから雨上がりに異臭が漂っていたが、原因はヤギのウンコの堆積物だったのだ。
これは2017年3月の写真だが、これと比較すると堆積物の量がよく分かる。
確かにモンジロウはこの場所で糞尿をする癖があった。これに気が付かずにあと数年経っていたら、ここはウンコ塚になっていただろう。実に恐ろしい。
ヤギのウンコを除去し地面を均一にする。
せっかくだから耐火レンガを等間隔に並べてかっこ良くしてみよう。
分解した木材をコンクリートの型枠に再利用した。
さて、あとはコンクリートを流し込むのだが・・・、
目測でコンクリートの必要量を見極めた爺さんは、「これならホームセンターに買いに行った方が早いぞ。」と言った。
さっそく買ってきた。 ここに写っているものだけで250キロもの重量がある。
この時、私は薄々感じていた。これではまったく足りないのではないかと。
爺さんが指定する配合比でコンクリートを混ぜる。
まずは粉状のコンクリート原料に砂と石を足して混ぜ合わせ、そこに水を流し込んで混ぜるとドロドロのコンクリートの出来上がり。中腰の姿勢で力いっぱい混ぜる作業は意外と重労働だ。
そして型枠に流し込む。
途中で作業を止めることができないので、ひたすら混ぜては投入することを繰り返す。この時点でコンクリートを甘く見ていたことを思い知らされる。
買ってきたコンクリートはこの部分に全て飲み込まれた。
やっぱり全然足りない・・・。
爺さんの目測はおおいに誤っていたようだ。そしてここからが苦行の始まりであった。
翌日、再びコンクリートを買いに行き、廊下の部分を作り始める。
爺さんは「ワシは腰が痛いから。」ということで、混ぜて投入するのは私、それを均すのは爺さんの役割となった。休みなくコンクリートを混ぜては流し込む作業の繰り返えしで疲労はすでに限界を突破。
これならミキサー車を手配した方がどれだけ楽で早かったか。だが今さら愚痴を言っても仕方がない。
とにかく頑張る。
結局、コンクリートを流し込むのに二日間もかかった。使用したコンクリートの総量は900キロ。ホームセンターを4往復することになった。ミキサー車を手配していたら1時間くらいで終わったはずだ。
あとは固まるのを待って型枠を外す。
モンジロウがよく通るウッドデッキの先端部分は傷みが酷いので、ここも取り替える。
ここはレッドシダーという木材を使用したが、木材価格高騰のおかげで一本4000円也。
三日間に及ぶ重労働の末に完成。
ちょっと見栄えが悪いが耐久性は抜群だ。これなら牛が歩いても壊れないだろう。
2021年11月28日公開