いよいよ寒さ本番となった12月19日、この場所に突如として大量のハシブトガラスが押しかけて来た。木の枝に黒いのが付いているが、あれら全てハシブトガラスだ。
その数およそ15羽。森では「カァー、カァー」と、ハシブトの声がうるさい。
よく見るとハシボソも混ざっている。
彼らは朽ち果てた柿の実を食べているようだ。
近くの畑でもハシボソの群れが地面で採餌をしている。よそ者のカラスは両者合わせて30羽くらいいるが、これまでに見たこともないほどの数だ。
数は多いものの争いは起こっていないが、あまりの数の多さに縄張り主のカラスは傍観するしかないのだろう。
毎年、冬になると他所からカラスの群れがやって来るのだが、いつも二週間程度でいなくなる。おそらく群れになって移動しながらエサの豊富な場所を探しているのだろう。そして、その場所でエサが少なくなるとまた移動するのだ。まるで遊牧民のような生活スタイルだが、縄張り主のカラスたちにとっては盗賊が襲ってきたように感じているだろう。
しかし、カラスの群れはリーダー不在の烏合の衆だ。だから、計画的に縄張りを乗っ取るようなことは考えていないと思う。
ハシボソ夫婦も意外と落ち着いて対処している。
もっとも、ハシボソ夫婦は少なくとも12歳以上の高齢であるため、以前のような気力は無いのかもしれない。以前のハシボソ夫婦だったら、侵略者に対して闘争心をむき出しにしていただろう。
あまり油断していると縄張りを盗られてしまうかもしれないぞ。
そんなハシボソのお父さんの様子を、離れた所から一羽のハシブトが観察している。
そしてついに、エサ台に気付いてしまった。
興味深そうにカラス小屋を覗き込んでいる。ハシブトガラスは表情がマヌケで鳥っぽくないというか、改めてハシボソとは別種であることを実感する。
だが、マヌケな顔に似合わず警戒心が強く、私がカメラを構えるとすぐに逃げていく。しかし定点カメラには、やりたい放題の日常が記録されていた。
この日はハシボソ夫婦よりも先に来たが、どうやらエサの時間を把握したようだ。
卵黄をゲット!
これに味をしめたようで、彼は頻繁にエサ台に来るようになった。
また来やがった・・・。
そこにハシボソのお父さんが登場!
はたしてハシボソ夫婦は縄張りを守ることができるのか。
騒々しい年越しになりそうだ。
2023年12月31日 公開