今日のカラスたちの昼ごはんは手羽元だ。
ラーメンのだしをとった残り物だが、これが彼らの大好物である。
どれくらい好きかというと…、
肉を食べ終わると軟骨をかじり、最後は骨を砕いて髄までしゃぶるのである。
二本用意した手羽元をアディが独り占め。
しかし重くて運べずに近くの枝の下に隠す。
バン君はこの状況を苦々しい顔で見ている。
彼がなぜ黙っているかというと…。
つい先日、この爪切りで伸びすぎたクチバシの先をカットしたのだ。
以来、私とは距離を置きたいらしい。
アディはそんなバン君の心境をよく理解している。
だから私が小屋の中にいるときはやりたい放題なのだ。
急いで食べて、残りは隠す。
「よいしょ、っと」
もう一本は自分のそばに。
ここで、私は小屋の外に出た。
アディの表情が変わり緊張した様子に・・・。
姿勢を正すアディ。
後ろからバン君がすごい威圧感を放っているのだ。 カラス同士には必ず上下関係が存在し、ここでは先輩であり体格の大きなバン君の方が上位である。
「すんませんでしたぁーっ!!」
「アディのヤロウ、調子に乗りやがって・・・。」
「そりゃあ、俺もビビりなところがあるけどぉ。」
「俺の方が先輩だしっ!」
バン君はアディから手羽元を奪還した
調子に乗りやすい性格のアディであった。
2019年12月15日 公開