今年も巣作りを始めたハシボソ夫婦。巣作りの開始は例年よりも10日ほど遅い2月22日のことだった。
今年は塔体内の北西側に巣を作り始めた。昨年は南東側(写真の左奥)だったので、それに比べると観察しやすい場所である。
巣作りの進捗状況を見てみよう。
ベテランの彼らにとっては慣れたもので、巣の外周部分はわずか数日で出来上がっていた。その後の内装の作り込みに時間が掛かるようだ。
こうして写真を並べると画質が不安定だが、これは私の撮影がヘタクソなのではなく、その日の大気の揺らぎとか太陽の向きによるものだ。200メートル以上も離れていることと、撮影位置からは逆光になるので難しい。
3月8日、まだ夫婦で巣の材料集めをしているので産卵はしていないはずだ。
巣の外側は数日で仕上がるのだが、内装の仕上げに時間をかけている。
以前、電力会社から巣立ち後のハシボソ夫婦の巣を入手したことがあるので、もう一度それを見てみよう。
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これは2023年のハシボソ夫婦の作品だ。
直径は約40㎝。外側は丈夫な枝を荒く編んで作っているが、内装は細かな枝が無数に編み込まれ、仕上げに糸や綿が使われている。
2023年8月13日 カラスの古巣 ←当時のブログ
3月11日、雨の朝を迎えた。
前日までとは違い、ハシボソのお母さんはずっと巣にいる。どうやら産卵したようだ。
この位置からは頭と尾がハミ出しているので在宅状況が分かりやすい。先程の巣を見ても分かるとおり、カラスの巣はカラスの全長よりも小さいのだ。
それ以降のハシボソのお母さんは、巣に座り込んで卵を温める日々が続いた。以前のハシボソのお母さんは抱卵期間中でも巣を留守にしていることが多かったが、今年は気温が低いためか巣にいる時間が長い。
ところで、昨年の子ガラスはどうなったのか?
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昨年の子ガラスは今はもうここにいない。これが子ガラスの最後の写真となった。3月20日のことだ。
赤色だった口の中はすっかり黒くなり、わずかにピンク色を残すだけだ。
キョロキョロと周辺を警戒しているが、この頃は両親に追い回されていた時期だ。
この写真から数日後に、子ガラスの姿を見なくなった。巣立ちから10カ月、ついに両親の元を離れ、新しい自分の居場所を探す旅に出たのだ。
3月31日、我が家のソメイヨシノはようやく五分咲きとなった。
カラスの抱卵期間は約20日なので、そろそろ孵化する頃だと思うが・・・。
この場所からの観察では孵化したかどうかは直接見ることはできない。そのため彼らの行動を観察して推測するしかないのだ。
お父さんが巣に戻ってくると、巣の中に座っていたお母さんは起き上がった。そして夫婦そろって巣の中を覗き込んでいる。孵化したヒナを見つめているような感じだが、産卵した時も同じように巣を覗いていることがあったので、これだけでは判断できない。
入れ替わるようにお母さんは飛び去ったが、お父さんはまだ巣の中を見ている。
お父さんは巣の中を覗き込んで、なにやらモゾモゾしているが・・・?
「う~ん、分からない。」
その後もお母さんは巣に座り込んでいる時間が多く、卵が孵化しているのかどうか判定できない日々が続いた。
4月6日、枝の先にとまっているのはハシボソのお父さんだ。
疲れているのか、大きなあくびを連発している。
彼の年齢は少なくとも13歳より上だ。野生のカラスの平均寿命は不明だが、これまで考えられていた以上にカラスは長生きだ。しかも、衰えることなく毎年繁殖していることがすごい。しかし、最初の頃と比べて性格はかなり温厚になった。
4月10日、相変わらずお母さんは巣に座り込んだままで、一見すると抱卵中に見えるが、日数からして孵化していなければいけない。
もしかして、ついに繁殖能力が衰えて無精卵だったのか? という不安がよぎる。
4月12日、巣に戻ってきたお父さん。
「あっ!」
「ヒナのクチバシが見えた!」
この写真だけでは正確に分からないが、おそらくヒナは目が開き始めたところで、孵化後10日といったところか? そうだとすると、やはり3月31日に夫婦で巣を覗き込んでいた時には孵化していたのだろう。
巣の中には三羽以上のヒナがいるようだ。
これからヒナは急成長して食欲も増す。これからハシボソ夫婦の忙しい日々が始まるのだ。
2025年4月13日 公開