長雨で暖かい日が続いた冬だったが、いつの間にか春が来たような感じがする。このペースで暖かくなったら今年の夏はどうなるのか?
さて、ハシボソ夫婦は今年も子育ての季節を迎えたのだが、例年よりもやや遅く2月12日から巣作りを開始した。今年は暖冬なので例年よりも早くなるか気になっていたが、やはりカラスの繁殖期は気温の上昇によって始まるわけではないようだ。
巣を構えた場所は昨年と全く同じ送電鉄塔の塔体内である。ここに巣を構えるのは今回で6年連続。これまでの成功体験から、ここ以外の場所は考えられないのだろう。
2月15日。
そんなに急いでいないらしく、ゆっくりとしたペースで木の枝を運んでいる。
まだ作り始めたばかりなので巣の形は見えない。
2月21日。
作り始めて10日経ち、ようやく形が見えてきた。雨の日が多かったせいか、作業が遅れているようだ。
そして本日、3月3日。
巣の形になったように思う。
しかしまだ、せっせと枝を運んでいるので完成ではないらしい。
ところで昨年の子ガラスはどうなったかというと・・・、
これは昨年の11月15日の末っ子の様子だが、これ以降はエサ台には来なくなった。
ここ数年の観察では、子ガラスは巣作りの季節まで親元に居座って、巣作りと同時に追い出されることが定番となっていた。だからこの数年では最も早い独り立ちといえる。
ところが、子ガラスと入れ替わるように一羽の大きなハシボソが来るようになった。
左がお父さんで、右は最近よく来るハシボソである。
風切羽の様子から、少なくともこのカラスの年齢は一歳を超えている。つまり昨年巣立った子ガラスではないのだ。これはもしかして、一昨年(2022年巣立ち)の子ガラスではないか?
ハシボソにしては立派なクチバシ、お父さんよりも一回り大きな体格・・・。
2022年に巣立った子ガラスのなかに、やたらと体格が立派なのがいたが、もしかしてその時の子ガラスか?
私がハシボソ夫婦の観察を始めてから10年になる。その間にハシボソ夫婦は毎年子育てを繰り返し、世の中に送り出した子どもたちは20羽以上になる。実はカラスは子沢山であり、一個体が生涯に生む数としてはかなり多いのだ。
生物の出産数は成長するまでの生存率によって決まる。成長するまでの競争率が激しい種類ほど、たくさんの子を産むのだ。カラスの子育てはそれだけリスクが高く、巣立った子ガラスが性成熟(三歳くらい)に達する確率は非常に低いということだ。
さて、ハシボソ夫婦がこれまでに送り出した子ガラスたちは、いま、何羽が生き残っているのだろうか?
2024年3月3日 公開