送電鉄塔に営巣したハシボソガラスの夫婦。 子供たちは順調に育ち、いよいよ巣立ちの時が迫る。 数十メートルはあろう鉄塔の上から、どのように巣立ちするのか? はたして無事に巣立つことができるのだろうか。
2017年5月30日
子ガラスたちは、時々こうして巣の中で羽をバタバタさせている。
飛ぶための準備をしているのだ。
上にいるのはお父さん。
今度はお母さんが右側にとまり、 子供たちに 巣から出るように促している。
こうして離れた所にとまり、 子供たちを巣の外に出そうとしているのだ。 給餌の回数も減っているようにみえる。
なかなか巣から出てこない子供たち。
両親が交代でやってきては、こうして説得している。
子ガラスに給餌している様子は確認できないので、
空腹にさせて巣立ちを促しているのだろう。
そして日没・・・。
子ガラスたちは結局、一歩も外に出ることなく一日が終わってしまった。
翌朝、この日は曇ってはいるが風はなく、
巣立ちには絶好の日だ。
早朝から両親そろって電線にとまり、
子供たちを誘い出だそうとしている。
「今日こそ絶対に巣立たせる。」そう決めたかのようだ。
大きなサギが一羽、巣の近くを通過した。
その瞬間、ハシボソ夫婦は警戒音を発しながら、
サギを猛追撃する。
通常、
カラスは敵意を見せない相手に対して無駄な攻撃はしないものだ。
だが、今日のカラスたちはいつもと違う。
今日は特別な日なのだ。
しつこく追われるサギ。 困惑の様子がうかがえる。
そしてついに、1羽の子ガラスが巣から出てきた。 鉄塔のアームを移動しながら大きく羽ばたいている。
それを見たお父さんが慌てて駆けつける。 下にいるのがお父さん。 上にいる我が子を心配そうに見上げる。
お父さんは子ガラスの隣にとまり、 しばらく寄り添う。
そして手本を見せるかのように飛び立ち、 周囲を滑空してみせる。
それを見た子ガラスは一生懸命に羽をバタバタさせる。 だが、もう一羽の子ガラス(子2)は巣にこもったまま・・・。
再びお父さんが戻ってきた。
巣にいる子ガラスは口を大きく開けて餌をねだっている。
末っ子の方は今日が何の日か、自覚していないようだ。
子ガラスにエサを与えるお父さん。
そして巣にいる子ガラスにも・・・。
おっと、与えるのかと思ったら、そのまま無視して飛んで行ってしまった。
こうして飴とムチを使い分けることで、
自立を促しているのだ。
巣から出た方の子ガラス(子1)は羽を大きく広げ、飛ぶ練習をしている。
末っ子(子2)も仕方なく巣の中で体を起こし、申しわけ程度にバタバタやり始めた。
なかなか飛び立たない子供たちに対し、
両親は鉄塔の下の木の枝にとまり、
そこでバサバサ音を立てて、
ここに目がけて飛び降りるように促している。
そう、本来、カラスの巣は木の枝にあるので、
巣立ちの際は、周囲の木の枝がクッションになるのだ。
一向に飛び立たない子供たちに業を煮やしたお父さん、 子供たちを説得に向かう。
と、思いきや巣の子ガラスにエサを与えている。 子ガラスの空腹の度合いを見定め、空腹の限界付近でコントロールしているのだろう。
朝から夕方まで14時間、両親は子供たちの巣立ちを促し続けていたが、
とうとう、この日も日没を迎えようとしている。
イラ立つ両親。
こうして電柱にとまり、下の道路を人が通るたびに警戒音を発している。
そうとう焦っているようだ。
すると突然、巣から出ていた方の子ガラスが、
二段下のアームに飛び降りた。
だが思うように飛べず恐怖を覚えたのか、それ以降、まったく動こうとしなくなった。
もう日没なのに、そのような中途半端な場所でどうするつもりだろうか?
2017年6月5日公開