カラスは大型の鳥なので、鳥カゴもそれなりに大きなものが必要になる。 鳥カゴというよりも鳥小屋と言うべきか。 ここでは、シロートでも簡単に作ることができるカラス小屋を紹介しよう。 カラスにとっての快適性と、飼い主の利便性を高次元で両立させるべく改良を重ねた、 カラス小屋の成長の軌跡である。
が、しかし…、
最初の計画にはない増改築を重ねることで、 このようなチンドン屋のような佇まいに成り果てたのである。 現在は新築を計画中だが、 これはこれでもったいないので、取り壊す前に解説しよう。
断熱屋根と移動用のタイヤが付いた最終形態。 強風でも風が抜けて安定するように計算されており、 台風でも倒れることは無い。 床は網になっていて、時々移動させることで床の掃除が不要になる。
まず、骨組みの設計図を書き、それをもとに50mmの角材で骨組みを組み立てる。 このとき、許容誤差を5mm以内に抑えないと後で面倒なことになります。 予算があれば、これよりもツーバイフォー建築にした方が良い。 いずれにしても、人が入れる寸法にするのを忘れないように。
次に色を塗る。全て組んでからでも塗れるが、 組む前に塗った方が確実に早くムラなく塗れる。 フレームが弱そうに見えるが側面のパネルで強度を確保するのでこれで十分。 超軽量建築物には必要以上の強度は不要なのだ。
腰板と屋根を貼り、金網を貼り付ける。 腰板は耐水合板を使用し、さらに塗装する必要がある。 予算に余裕があれば腰板にはウッドデッキ材を使用した方が良い。 というか、そうするべきだ。
床には金網を貼りその下にレールを取り付けて、
スライド式のトレーを設ける。
これによりフンの掃除が簡単になるが、
後にもっと簡単な方法を思いつくことになる。
イタチがいる地域はもっと丈夫な金網が必要。
小屋は和室の地窓に沿って設置したので、 和室の窓からカラスの様子を見られるようになっている。 だがしかし、この配置が後にカラスにストレスを与えることになることを、 この時はまだ知らない。
枝を配置して完成。
ここまでの組み立てに要した日数は、一人で2日間のみ。
だが、設計には時間をかけた方が良い。
設計が正確なほど組むスピードが速くなる。
そしていよいよカラスを投入する。 このカラスは左の羽を骨折して以来、飛べなくなってしまった。 遠方から車で連れてきたため、長旅で疲れている。 初めての環境に驚いている様子は、 表情を見るとよくわかる。
この表情だ。
カラスは想像を超える驚きに出くわすと、あんぐりと開いた口が塞がらなくなるのだ。
*夏の暑さにやられた時も口が開いたままになる。
この小屋の暮らしにもだいぶ慣れてきた。 餌は手渡しで与えた方が良いが、 中型犬なみの量を食べるので、頻繁に餌を与える必要がある。
重要な事だが、カラスは寝床にこだわりを持っている。 敵に寝込みを襲われないような場所を本能的に求めるのだ。 そこで側面二面と屋根をこのように壁にしてやると安心する。 夜は例外なくこのホームポジションで寝ている。
カラスをもう一羽、迎え入れることになり、 急きょ、カラス小屋の増設に取り掛かる。 増築するスペースはこの室外機の横しかない。 さっそく、設計を開始する。
そして、今回は一日で完成。
腰板にウッドデッキ材を使用し、
隙間を設けることで通気性を確保し、
快適性と耐久性を大幅に向上させた。
後ろから見るとこんな感じだ。 室外機を避けてイレギュラーなサイズになっているように見えるが、 実はこれには計算があるのだ。 それは後程。
カラスは勘の鋭い動物だ。
この時すでに新たな仲間の登場を予感し、
期待を膨らませているのだろう。
増設した小屋との間には網が貼ってあり、
今のところ行き来はできないようにしてある。
いきなり同居させると喧嘩するかもしれないからだ。
そしてついに二羽目のカラスが登場。
新入りのカラスは生後まだ7か月の子供だ。
口の中は赤く、その口を大きく開けて餌をねだるしぐさをする。
カラスは鳥の中でも成長が遅い方なので、
口の中の赤色は翌年の春までかけてゆっくり黒く変わる。
寂しかった一人暮らしに終わりを告げるとともに、
騒々しい日々が始まるのだ。
新入りのカラスはまだ子供なので、
このように甘えてすり寄っていくが、
先輩カラスは完全に無視・・・
相性が悪いようだ。しばらくは金網越しで様子を見ることにしよう。