カラスブログ2018年8月11日 野良猫の生きる道

三毛猫

この三毛猫はいつも我が家に朝食を食べにくる野良猫だ。
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今年の2月に発情していたが、その後どうなったかというと…、

それはこの太り具合を見てもらおう。

「あぁ、やっぱりか…、」という一言が漏れる。

今年の春のことだ。


三毛猫

そしてこの太った猫は去勢済みの地域猫♂

彼の名は「ハクホウ」

去勢されているはずだが、なぜかミケを追いかけている。

だがしかし、いくら想いをよせてもなしのつぶて。


ハクホウ

いつものとおりミケに冷たくあしらわれる。


三毛猫

春のある日、ミケの様子をじっくり見ていると…、

そう、お腹がへこんだのだ。 どうやらどこかで出産したらしい。

猫には夫婦という概念がないので、 子育ては専ら母親だけの仕事である。

それに比べてオス猫は気楽なもんだ。



これ以上、野良猫を増やすわけにはいかない。 子猫は私が責任をもって面倒を見るべきだと考え、 周辺を探すのだが気配すらない。

それから一か月が過ぎた。

子猫の隠し場所を探すため私はミケのあとを尾行した。 歩くこと200mくらい。 意外と気づかれないものだ。 すると一軒の民家の前にミケは立ち止まり、 そこで大声で鳴いている。 そう、ミケの第二の家はそこだったのだ。 第二というか、むしろここが本家だろう。

その家の主は地域猫の活動をしている方だった。 ちょうど前日に、ミケが外出中に子猫たちを捕獲したということで、 ミケが大声で鳴いているのはそのためだ。

とにかく子猫は発見できた。

三毛猫

← それがこれ。

同じ模様の子猫がもう一匹いる。

保護したのは両方ともオスで、この時で推定生後40日くらいかな。 乳離れしたところだと思う。

その家はすでに猫屋敷のごとく猫があふれ定員オーバーだったため、 とりあえず私の家に連れて帰った。


子猫

まだ人間を恐れることを知らない無垢な子猫たちだ。


三毛猫

だが私は、わが子を奪われた母猫の執念を侮っていた。

その時、外ではミケが奇声をあげて我が子を探していたのだ。

食事が済んだならさっさと帰ればいいのに、 こうして我が家を覗きこんでは疑いの目を向ける。

今、子猫に鳴かれたら終わりだ。居場所がバレてしまう。


三毛猫

かすかに「ミー、ミー」と鳴く子猫の声に瞬時に反応したミケ。

二日目にしてあっけなく子猫の居場所がバレてしまった。

ミケは気性の荒い野良猫なので攻撃されるのかと思ったが、 それはなかった。

だが、ものすごい怨念のこもった声を私に浴びせかける。


三毛猫

子猫たちはというと、 外で喚きちらす母猫の声に反応はするものの、 それほど寂しくはないようだ。

室内の心地よさと安定した食事に満足し、ここを離れようとはしない。


三毛猫

私はなんだか誘拐犯になったようで気分はすぐれない。

というか実際、誘拐犯に違いはないだろう。


三毛猫

我が子の居場所を突き止めたミケは「子猫を返せ」と鳴き続ける。

その金切り声は凄まじいものだ。 気の弱い人ならノイローゼになるだろう。

だが、いまここで子猫を返したらこれまでの苦労は水の泡。

そんな時、猫の声を聞きつけた近所の爺さんがアドバイスをくれた。

曰く、「そういうときはな、 必ず一匹は親元に残しなよ。そうすると騒がないから。」 とのことらしい。

それはその通りだと思う。

でも、そのやり方だと徐々に野良猫が増えていくことになるが…。


三毛猫

叫び疲れ声もかすれてきたミケ。

それでも「子供を返してくれ」と声を振り絞り懇願する。

猫のためと割り切っていたつもりだが、 さすがにこれには胸が苦しくなる。


三毛猫

ミケの声を聞きつけ、ハクホウが現れた。

子供を失ったミケに対し、チャンスを見出したのか?

彼は悪い奴ではないが、空気を読むことは得意ではない。


三毛猫

傷心のミケの心を掴もうと必死にアプローチする。


三毛猫

だがハクホウは優しい男だ。

ミケに強引に迫ることはなく、 こうして距離をとって見守っている。


三毛猫

ミケの異変に気が付いた者はここにも。


忍び寄るスネ夫

これはボスの子分のスネ夫。 隙あらばという下心が丸見えだ。

こういう場面の解説で
「オス猫は自分の遺伝子を残すために必死」 というのを聞くが正確にいうとそれは間違いだろう。

「よーし、子供作るぞー!」なんて計画的なことを思っているわけはなく、 抑えきれない短絡的な性的衝動である。


忍び寄るスネ夫

だがしかし、その衝動は本能からくるものであり、その結果、子孫が繁栄するのである。

結果は同じだが現場で考えている目的が全く違うということだ。



この状況ではミケは再度妊娠、出産してしまうだろう。 若いメス猫が屋外にいるというのはそういうことだ。

しばらく考えた末、意を決してミケを捕獲し避妊手術をすることに決めた。 でないと、この地域が猫だらけになってしまうことは明白だ。

だがしかし、まったく人に馴れていない野良猫をどうやって捕獲するのか?

そこで用意したのがコレ ↓

三毛猫

アライグマを捕獲するための罠である。

紐を引くと手前のゲートが閉まるようになっている。


三毛猫

失敗は許されない状況だったが、 意外にもあっさりと捕獲完了。

ミケは今、怒声をあげて激しく威嚇している。

「裏切りやがったな!」

まるで危険な野生動物を捕獲したときのような緊張感だ。

こうして捕獲されたミケは、このまま動物病院へと搬送されたのであった。


そして無事に退院・・・、

三毛猫

避妊手術を終えたミケ。

もう我が家に来ることは無いだろうと思っていたが、 二日目には姿を現した。

憮然とした表情で朝食を要求している。

まだ少し怒っているようだが、
「それとこれとは話が別」ということらしい。

やはりメス猫はしたたかだ。


ところで戻ってきたミケの姿に違和感が・・・。

そう、右耳が大きくカットされたのだ。 避妊手術済みのメス猫には右耳にV字のカットを入れるのだが、 これはいくらなんでも切りすぎだ。しかも切り方が雑。 野良猫とうことで、おそらく新人助手の練習台にされたのだろう。

腹立たしいが苦情を言っても耳が戻ってくるわけではない。

いずれにしても、ミケはもう子供を産むことは無い。 何が正解なのかわからないが、仕方のないことだと言い聞かす。

だがしかし、猫の視点から考えてみれば実におぞましいことだ。

母親から子供を奪い、それに飽き足らず母親を捕らえて避妊手術を施す。 もし、人間社会で同じことをやったなら私は死刑になるかもしれない。


三毛猫

子猫たちは二匹ともすくすく育っている。

特に左の猫は異常に食欲があり、右の猫の二倍速で成長している。

この大きい方の猫はすでに里親が見つかり、今は別の家庭で暮らしている。


三毛猫

そして残された子猫は結局、私が飼うことになった。

カラスともご対面。

初めて目にする大きな黒い鳥に驚いている。


三毛猫

ミケはというと、今はもう我が子に対する想いはない。

声がかれるほど泣き叫び求めた我が子だったが、 その記憶すら薄れていくようだ。




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2018年8月11日公開

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