12月24日
雪の降る中、久しぶりにキツネのお父さんが現れた。最近は子ギツネの姿もなく、たまに夫婦でいるのを見かけるくらいだ。
翌日の夕方
前日の雪が解けたころ、久しぶりに野良猫のミケが帰ってきた。
実に8カ月ぶりの登場である。
今までどこの家で暮らしていたのか知らないが、特に痩せているわけでもなく元気そうだ。もう一方の家庭でも可愛がられていたのだろう。
久々の再会にモンジロウも喜んでいる。
ミケは翌日からずっとここにいる。しばらくはここで暮らすつもりらしい。
キツネもあまり来なくなったし安心なのだろう。
戻ってきた当初は周辺を警戒していたが、今ではすっかりリラックスしている。
のびぃ~ぃ~、
モンジロウのそばで昼寝をしたり・・・、
いきなりネコパンチ。
モンジロウとミケは互いに信頼できる幼馴染なのだ。
今ごろもう一方の家庭では「この数日ミケが来ないな・・・。」と、心配しているころだろう。名前はおそらく向こうでも「ミケ」だと思う。
ネコはこのようにして人間社会に順応し、したたかに生きているのだ。
そして2023年の元旦を迎えた。
我が家の動物たちも元気に新年を迎えたが、ここで残念な知らせが入った。
近所の爺さんがキツネの死体を発見したというのだ。そのキツネは爺さんの家の床下に横たわっていたらしい。
爺さんの見立てでは死後数日程度とのことだった。私も亡骸を確認したかったのだが、すでに庭に埋葬された後だった。
いったいどのキツネが死んだのか?
定点カメラで撮りためた画像を確認すると、それはすぐに判明した。
12月29日
モンジロウに会いに来たのはキツネのお母さんだ。この時点で生きているということは死んだのはお母さんではない。
そこに現れたのはキツネのお父さん。
夫婦ともに元気そうだ。
と、いうことは・・・、
死んだのは子ギツネだ。
これは昨年7月の子ギツネの様子。せっかくここまで育ったのに気の毒だ。
両親に独立を促されたものの冬になり食料が乏しく、飢えと寒さのため最後は床下に避難し力尽きたのだろう。この周辺はすでにキツネとタヌキ、さらにノラ猫が住み着き定員オーバーなのだ。しかもキツネはネコのように人間に頼ることもできない。
最近は野生動物が人間社会に侵出して問題になっているが、これは彼らが悪いのではない。
「動物は山で暮らせばいい」と思うかもしれないが、彼らにも事情があるのだ。
グーグルアースで日本各地の上空写真を見てみると分かるが、動物が暮らしやすそうな平地や生物資源が多そうな川や浜は全て人間が開拓し、本来の自然が残っているのは住むには適さない急峻な山岳地帯ばかりだ。昔は豊富にあったであろう草原や湿原、護岸の無い河川などは現在の日本にはほとんどない。
これは田舎でも例外ではない。一見、豊かな自然が残っているように見えるが、ほとんどの場所は民家や道路、田畑で寸断され森は連続していない。少しでもたいらな場所があれば全て人間が開拓してしまった結果だ。野生動物が人里に現れるのは彼らの視点で考えれば当たり前の話である。
2023年1月8日 公開