ヤギのモンジロウが我が家に来てからもうすぐ半年。 彼もここの暮らしにすっかり馴染んだようだ。
雄のヤギなんて、従来はあまり利用価値のない家畜だったはずである。
しかし近年では除草という仕事に活路を見いだされ、安価で売られる雄ヤギにも注目が集まっている。
さらに最近ではヤギブームの兆しも見え始め、テレビなどでもよく紹介されている。 だがしかし、ヤギなんてあまり気軽に飼い始める動物ではないだろう。
カワウソもそうだけど、ブームを煽るとその後にロクなことにならないのだ。
「お前もカラスブームを煽ってるだろ!?」という声が聞こえてきたが、 少なくとも「カラス可愛い~」なんて無責任にブームを煽るようなことはしない。 このサイトはカラスと正面から向き合い、責任をもって伝えているつもりだ。
そこで今回は、ヤギのダメなところを一挙に紹介しヤギブームに冷や水を浴びせたいと思う。 まずはヤギの一日を見ていこう。
朝、カラスたちはすでに朝食を終えているが、モンジロウはまだ眠そうな顔をしている。 私が掃除を始めるころにフラ~と起きだしてきて、彼の一日が始まる。
目ざめたモンジロウはまず、夜のうちに体内に溜まっていた大量のオシッコを放出する。
このオシッコが時間が経つと臭くなるのだ。
そう、あの独特な牧場のニオイである。これが苦手な人はヤギを飼わない方がいい。
しかしウンコはそれほど臭くない。
コロコロしているので掃除も簡単。
チョコボールに混ぜておいたら気づかずに食べる人もいるかもしれない。
畑の肥料としての利用価値もある。
掃きとったウンコは豪快に庭にばら撒く。
地面にばら撒いておけば土に還るのだ。
地面の草を食べて、その排泄物も土に戻る。この庭だけで全てが循環するのである。
陽が差し、夜露が乾いたころに彼の活動が始まる。とはいっても草を食べているか寝転んでムニュムニュと反芻(はんすう=再咀嚼)しているばかりである、それ以外に余計なことはあまりしないので何のドラマも生まれない。
そろそろ移動の時間だ。しかし最近は散歩を嫌がるようになった。
自分の中で縄張りやホームポジションが確立したのだろう。
しかし他の場所の草むしりもしてほしいから連れていく。
するとモンジロウは膝を折り地面に打ち付け、
「僕は歩かないぞ!」と、抵抗を見せる。
さらに引っ張ると寝転んで最大限の抵抗を示すのだが、地面との摩擦力を失った彼の体は滑らかに引きずられる。
しかしこれは傍からみると動物虐待に見えるかも?
そして、ついつい手綱を緩めてしまうのだ。
すると・・・、
手綱を緩めた瞬間、起き上がり猛ダッシュ!!
何がそんなに嫌なのか知らないがとにかく散歩を断固拒否。
最終コーナーを周ったその勢いでウッドデッキを目指す。
あのウッドデッキが彼のもっともお気に入りの場所だ。
手綱を離して見失っても、自動的にこのホームポジションに戻っているのだ。
テンションが上がったモンジロウはすこし面倒である。
私に乗りかかって甘えてくるのだが、その時に繰り出すヤギパンチが強烈なのだ。
二足歩行の状態で前足をバタバタさせているのだが、パンチを連打しているのと結果は同じだ。
しかもこれ、私が避けることを前提に顔面に容赦なくストレートを繰り出してくるので恐ろしい。
先日もヤギパンチをまともに食らい、顔面にヒヅメの跡を付けたばかりだ。
「痛たた・・・」
ヤギを飼うのは体力勝負である。
去勢してもこれだから未去勢の雄は絶対に飼いたくない。
仕上げに私の頭をベロベロとナメまわすところまでが一連の流れである。
傍から見るとヤギとジャレあって楽しそうに見えるかもしれないが、特に楽しくはない。
しかしナメられっぱなしではいられない。
今度は私の番だ。
「おりゃー!!」
ワザをかけて強さを見せつけてやる。
ヤギは調子に乗りやすい動物なので手荒な教育も必要なのだ。
しかし今はまだいい。
だが、こいつが成長したらどうなるのだ?
ヤギにヘッドロックをかけられる己の姿が目に浮かぶ。
「ヤギはアホだ」なんてよく聞くがそんなことはない。ヤギは人間をよく観察しているのだ。 温厚で自信のなさそうなタイプの人間には突進して頭突きを浴びせる。「アニマルセラピーを期待してヤギに近づいたら殴られた」なんてことも起こり得るのだ。しかし、ゴツイ男には決してそのようなふざけた真似はしない。そして逆に、おっとりした婆さんには静かに甘えるという優しい一面もある。
このように相手によってまったく態度を変えるのだ。つまりヤギのくせに人間に順位を付けているのである。
そして夕方
このウッドデッキで寝そべるのが夕方の至福のひと時である。
最近は野良猫のミケとも仲良しだ。
一日の疲れを癒すようにブラッシングをしてやる。
耳は垂れ下がりリラックスしている様子だ。
こうして彼の一日は終わる。
最近は小屋に戻らずにウッドデッキでそのまま寝てしまうのだ。
夜は少しの物音にも反応して起き上がるが決して声を出さない。
声を出せば外敵に自分の居場所を教えることになるからだろう。
家畜化されて久しいヤギではあるが、野生のころの防衛本能が色濃く残っているのだ。
< 本日のオマケ >
食欲のヤギ
ヤギが本気を出した時の食べっぷりはすごい。
好物を前にすると食欲が止まらないのだ。
このケールの葉のように体に悪いものほど旨いらしい。
*ケールは大量に与えてはダメ。
スタート!
あっというまに完食
この間、約10秒
2019年9月3日公開