我が家のアディ。今年で7歳になるハシブトガラスだ。
ハシブトガラスといえば、名前の通り立派なクチバシが特徴である。先端が少し下を向いているが、本来の食性である動物の死体を解体するのに適している。
だがここでは立派なクチバシも使い道がない。
こちらはバン君。同じくハシブトガラス。10歳。
カラスのクチバシは個体差があるが、ここまで伸びるのは異常である。これは先天的なもので、近年の都会のカラスにはクチバシのかみ合わせが悪い個体が一定数いるのだ。自然界ならば酷使するうちに削れるだろうが温室育ちなので伸び放題だ。
猛禽類みたいでカッコイイのだが、これではエサを拾い上げるのに苦労する。
そろそろ限界なので、今日はこのクチバシをカットしてやる。
私は着ていたシャツを脱ぎ捨てた。
この時点で彼は異変を察知し表情がこわばっている。彼にとって最も苦難の行事がやってきたのだ。
シャツを被せて包み込む。
可哀そうなくらいおとなしくしている。さっさと終わらせてやろう。
これは犬の爪を切るための道具だ。これでクチバシの先を挟んで、ズバッと切るのだ。
バッチーンっ!!
「はい、完了。」
カットしたクチバシだ。カラスのクチバシは顎骨をケラチンが覆っていて、簡単にいうと爪のようなものだ。だから先端が欠損すると伸びてくるのだ。
これでエサを拾う時も楽ちんだ。
2022年6月19 公開