早いもので、子ガラスが巣立ってから3カ月が過ぎた。
子ガラスはあどけなさを残しつつも、徐々に成鳥の顔つきになってきた。
鉄塔の古巣は、子ガラスが巣立った今もあの時の姿を保っている。
あれから幾度となく暴風雨に晒されたのに、頑丈なものだ。
巣立ちの日の画像と比べてみよう。
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巣立ってから二カ月以上も空き家なのに、枝の配置に至るまで形を保っている。
例年、この時期に電力会社が鉄塔の古巣を撤去する。この地域の電力会社は良心的で、カラスの巣立ちが終わる季節まで待ってくれるのだ。
ハシボソ夫婦の古巣を譲ってもらえないか電力会社に頼んだところ、撤去日を教えてくれたので現場に引き取りに行った。
初公開!!
これがハシボソ夫婦の巣だ
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「なるべく巣を崩さずに降ろしてほしい。」
という要望に応えてくれたようだ。
初めて間近に見るハシボソ夫婦の巣は、思ったより小さく感じる。
巣の内径は26cm、外形は不定形なので測りにくいが、60cmくらいある。
意外と小さいが、これで三羽のヒナを育てるには窮屈ではないか?
巣立ち前日の様子を見るとこんな状態だったが、実際にハミ出していたわけだ。
鳥の巣といえば中央がくぼんだお椀型が定番だが、この巣は平らな円盤型である。鉄塔のように支柱に囲まれる場所だと、必ずしもお椀型にする必要は無いようだ。
巣の骨格部分には広葉樹の枝やクズなどのツルが編み込まれている。街中のカラスの巣は洗濯物用の鉄製ハンガーが使われることが多いが、木の枝が豊富であればハンガーは使わないらしい。やはり天然素材を好むのか?
卵を温める内装部分にはシュロの木の皮がそのまま使われている。
綿のようなものは、おそらくどこかで拾ったぬいぐるみから引っ張り出したものだろう。これは化学繊維である。
タコ糸も編み込まれているが、これも化学繊維だ。
網戸の破片はプラスティック製だ。
こうしてみると特に天然素材に拘るわけではなく、風通しがよく雨に強い素材を選んでいることが分かる。
一見、雑な造りに見えるが、合理的で無駄のない構造物といえるだろう。
翌朝・・・、
無造作に置かれた巣を見て、お父さんは何を思うのか?
そして子ガラスにとっては生まれ育った場所だ。
2023年8月13日 公開