カラスブログ2018年4月22日 ドローンで巣を観察

松の木に造られたハシボソ夫婦の巣。 4月に入ってから卵が孵化したようだが、 それでも相変わらず巣に座り込んでいる。 おそらく、孵化後間もない丸裸のヒナに寄り添っているのだろう。

だが変化はあった。 卵を温めるのは妻だけだったが、ヒナを保温するのは夫も交代しながら手伝っている。

そして先週あたりから巣は留守がちになった。 おそらく、ヒナの羽毛が生え揃い、保温の必要が無くなったものと考えられる。 同時に警戒心は高まり、近づく他の鳥を激しく威嚇するようになった。 その鳴き声は「グァッ、ガラララ、ガララララ、」という歯切れの良い警戒音である。

カラスの巣

巣から顔を出しているのはお父さんだ。

こうして巣に近づく鳥を警戒している。


カラスの巣

だが、巣の中の様子は全く分からない。

屋根に登って巣の撮影を試みるのだが、 巣の内部までは見えない。

どの位置からも巣の中は見ることができないのだ。

さすがベテラン夫婦だ。よく考えられた位置である。


カラスの巣に飛ばすドローン

そこでついに、禁断の方法を採用することにした。 今流行りのドローンである。 近年の法改正により、飛行区域は厳しく制限され、 居住地域はほとんど飛行不可になった。

だが、この機体のように重量200g以下は規制対象から除外され、 いまだに多くの場所で飛行が可能である。 この例外規定は玩具メーカーへの配慮であろう。


カラスの巣に飛ばすドローン

一応、小型のカメラも付いている。

今日はこれで巣の中を見てみよう。


カラスの巣に飛ばすドローン

説明書には「対象年齢12歳以上」とある。 要するに子供のおもちゃだ。

機体重量150g。 コンビニのお握りと同じくらいの重さだ。 頼りなく、ヘロヘロしたボディが不安にさせる。

こんなものではたして巣の中を観察できるのか?


カラスの巣に飛ばすドローン

目指すはあの松の木。

直線距離で約20m。 2.4GHzの送信機の限界に近い距離である。

おもちゃのドローンは風に弱いので無風のタイミングを狙う。 そして当たり前だが、夫婦が留守の瞬間がチャンスだ。

見つかったらひとたまりもない。


カラスの巣に飛ばすドローン

ハシボソ夫婦が出かけたのを見計らい、 いざ、テイクオフ。

ヘリに比べると操縦は極めて簡単。だれでも操縦できる。 3分くらい練習したのち、いきなり本番に突入。

何だかネタの尽きたユーチューバーのようなノリだが、 これは大真面目な「調査」である。


カラスの巣に飛ばすドローン

空高く舞い上がるドローン。

そういえばドローンの出始めの10年以上前は 「マルチコプター」と呼ばれていた。 まさかここまで流行るとは…。

そのころはプロペラが6個か8個付いているモデルが多く、 業務用の高価なものばかりだった。


カラスの巣に飛ばすドローン

方向性の無い機体に見えるが、青の点灯が機首でありカメラもそっちを向いている。


カラスの巣に飛ばすドローン

ここからはドローンのカメラに切り替える。

左下にいるのは私。
実は結構緊張している。

だって、ミスしたら1万三千円がパーになるからだ。 木に引っ掛けたらおそらく回収不能だろう。


カラスの巣に飛ばすドローン

今の高度は15mくらいかな。

無風に見えても上空には風が吹いていることが多いので、 こうして高く上昇させて状況を確かめる。

わずかに風があるようで、少し流されている。


カラスの巣に飛ばすドローン

飛んだついでに回りも見渡してみよう。

上空から見たカラス小屋。

屋根の形が独特だ。


カラスの巣に飛ばすドローン

庭の南側。


カラスの巣に飛ばすドローン

そして東側。

池が見えてきた。

紅葉しているように見えるのはクスノキの新芽。


カラスの巣に飛ばすドローン

寄り道をしてしまったが、ここからは一路、巣がある松の木を目指す。


カラスの巣に飛ばすドローン

森の上空を飛び巣の方へ向かう。

ハシボソ夫婦に見つからない内に急ごう。


カラスの巣に飛ばすドローン

上空から見ると分かりにくいが、あれがカラスの巣がある松の木だ。


カラスの巣に飛ばすドローン

松の木に慎重に近寄る。

ドローンを少しでも枝に接触させたら
THE ENDだ。


カラスの巣に飛ばすドローン

巣が見えてきた。 枝で編んだ円盤状の巣だ。

カメラの性能が悪すぎて判りにくいが、 二羽のヒナが居るようだ。

風でフラフラするので、2m位の接近が限界である。

このドローンで空撮するのはプロでも難しいと思う。


カラスの巣に飛ばすドローン

巣の中にうずくまる二羽のヒナが確認できた。 黒い羽毛が生え揃っている。

ヒナはまだ小さく、立ち上がることができないようだ。


カラスの巣に飛ばすドローン

惜しいところまで行ったが、風が吹き始めてドローンが流されて浮上してしまった。

まったく無風の状況はそう長くは続かないのだ。

残念だが今日のフライトはここまで。


カラスの巣に飛ばすドローン

急いで着陸態勢へ。


カラスの巣に飛ばすドローン

無事に戻ってきたドローン。

おもちゃの割にはよくやった。


カラスの巣に飛ばすドローン

操縦に夢中になっていて気が付かなかったが、 ドローンが飛んでいる間、 ハシボソ夫婦は送電線にとまりこちらの様子を見ていたようだ。


しかしハシボソ夫婦はなぜ、何も反応しなかったのか?

ドローンを敵対生物だと認識していないのか? はたまた、初めて見る珍妙な飛行物体に恐れをなしたのか?

そうかっ! 私が操縦していることを認識して見逃してくれたのかも!?

 ・・・、

いや、それは無い。こいつらはそんな甘い性格ではない。

いずれにしても、これ以上、夫婦を刺激するのはやめておこう。



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2018年4月22日公開

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