5月2日、低気圧の接近により朝から雨が降っている。
雨は昼過ぎに土砂降りとなった。
鉄塔の巣ではハシボソのお母さんが雨からヒナたちを守っている。
ヒナはすでに羽毛が生え揃っているので雨に打たれても平気なのだが、今年のお母さんは子育てに熱心、というか過保護である。
夕方、雨はあがり急速に晴れてきた。
東の空に鮮やかな虹がかかる。
この場所で、あんな絵にかいたような虹を見るのは初めてだ。虹はすぐに消えるので今まで気が付かなかっただけか?
虹の端は池の向こうに降りている。
ハシボソ夫婦もこの虹を見ているだろう。
余談だが、カラスたちが見ている虹は我々とは見え方が異なる。カラスの眼には、最下層の紫色の下にもう一層の近紫外線色が見えているのだ。
ところで、今年の春は近年には珍しく気温が低い日が続いたが、ハシボソ夫婦の子育ては例年以上に順調だ。
それでは、ヒナたちの成長の様子を見てみよう。
4月16日
ヒナたちはまだ羽毛が揃っておらず裸の状態だ。ヒナたちは常に寝ているため普段は姿が見えないが、給餌の瞬間だけ顔を見せる。この時がシャッターチャンスだ。
エサを運ぶのはお父さんの役目で、お母さんは巣にこもってヒナを温めている。
4月19日
わずか三日間でクチバシは黒くなり頭部の羽毛が生えてきた。それまで巣にこもっていたハシボソのお母さんは、この日から採餌に出かけ留守にすることが多くなった。
4月26日
ものすごい速度で成長している。おそらく体重はこの10日間で二倍以上になっているだろう。クチバシが伸びてカラスらしい姿になっている。
4月29日
もう、誰が見てもカラスと分かる姿になった。鳥類の成長速度おそるべし。
これだけ成長しても、ヒナたちはエサの時間以外は基本的に寝ている。よく食べよく寝ることで育つのだ。
5月1日
給餌以外のときも巣から顔を出すようになり、時々体を起こしては周辺を見渡している。
体力がついてきたことと、好奇心の芽生えだろう。
そしてついに、両翼を広げて羽ばたき運動を始めた。
以前のハシボソ夫婦は抱卵期間中でも巣を留守にしていることが多かったが、今年は様子が違う。抱卵中はもとより、孵化した後もヒナを温め続けていたのだ。そのかいあってか、巣作りの開始は遅れたもののヒナの成長は早い。当初予測した5月25日ではなく5月10日前後の巣立ちになりそうだ。
2025年5月4日 公開