カラスブログ2018年5月27日 巣立ち

三月上旬から巣作りを始めたハシボソ夫婦。 今年は天候にも恵まれ、子育ては順調に進んでいるようだ。

どうにかして巣の中の様子を観察できないものか。 私は思案に明け暮れたのだが結局、 決定的な方法も思いつかないままに時間は流れた。 そして子ガラスたちは大きく成長していたのだった。

カラスの巣

4月26日

子ガラスが巣から身を乗り出し、口を大きく開けている。

どうやら、お父さんが戻ってきたようだ。


カラスの親子

子ガラスにエサを与えるお父さん。


エサ台のカラス

その時、エサ台にポツンと佇んでいるのはお母さんだ。

これは毎度のことだが、夫が食べ物を独り占めしたため、 何もないエサ台に呆然と立ち尽くしているのだ。

前回までは、ささやかな気遣いを見せていた夫だが、 本来の自己中な夫に戻っていたのであった。


エサ台のカラス

部屋の中にいる私に視線を送る。

エサ台に何も無いことを、 こうして私に静かに訴えているのだ。 これは彼女が最近覚えたやり方だ。

カラスとしてのプライドが少し薄くなったのかもしれないが、 あの夫のもとでは仕方のないことだろう。


巣の中のカラス

4月30日

子ガラスはだいぶ成長したようだ。 クチバシも伸びて、体格もカラスらしくなってきた。

巣立ちの時は近い。


ムクドリ

庭に目をやると、一羽のムクドリが地面を歩いている。

落ちているのはカラスの風切羽。


ムクドリ

巣の材料にするのだろう。

ムクドリの巣作りはカラスよりも少し遅い時期である。


ムクドリ

思ったよりも大きかったかな?


ムクドリ

「これじゃない」

ということらしい。


そして巣立ちの日

5月5日 午前4時30分

夜明けにハシボソ夫婦の怒声で起こされる。 そしてその声は森の奥の方へと移動していった。 この時、私は子ガラスが巣立ったのだと直感した。

ムクドリ

池の東側でハシボソ夫婦の怒声が響いている。

おそらく子ガラスが移動する先々で他の動物を威嚇し、 安全を確保しているのだろう。


オオスズメバチ

森の中を進むと「ブーン」という羽音が聞こえる。 目の前に現れたのはオオスズメバチだ。

写真では分かりにくいが非常に大型であり、親指くらいの大きさがある。 ソーセージが空を飛んでいるかのようなインパクトだ。

冬眠明けの女王バチが巣作りの場所を探しているのだろう。


オオスズメバチ

近くに寄ってくるが、女王バチには攻撃性が無いので大丈夫。

オオスズメバチは地中に巣を作るので、 巣の場所が全く分からない。 そのため夏以降には、まさに地雷のような存在となるのだ。


マムシに注意

それ以外にもマムシ、ヒル、ムカデなどがこの森に入る人を出迎える。

そのため、人間が立ち入ることはほとんどない荒れた森だ。

だがそれが、カラスの子育てにはちょうど良いのである。


ハシボソガラスの夫婦

すっかり寄り道をしてしまった。

ハシボソ夫婦の鳴き声のする方に進むと、 昨年と同じ池の東の森に辿り着いた。

木の上にハシボソ夫婦がとまり警戒音を発している。

ここは毎年、巣立ち後の子ガラスを飛行訓練させる場所だ。



ハシボソ夫婦の警戒音はこの場所で最も強くなる。 それは、ここに子ガラスがいることを示しているのだ。

だが、周囲の木を見渡しても子ガラスの姿が見えない。 木の枝に溶け込むように身を隠しているのだろう。

すると、ハシボソ妻の方が飛び立ち、巣のあった松の木の方へ戻っていった。


カラスの巣

私もそれを追って、松の木に戻ってみる。

何もいないようだが?


巣立ちの子ガラス

よく見ると!
松の木の二段下の枝にいるではないか、 一羽の子ガラスが。

どうやら弟が置いていかれたようだ。


巣立ちの子ガラス

子ガラスはそうとう焦っているのか、 母親の声を聞いて、羽をバサバサと大きく動かしている。

だがしかし、全開に広げたその羽は、 風切羽がまだ伸びきっておらず白い羽鞘が残っている。

ちょっと巣立ちには早いのではないかと思うが、 ベテランの両親が判断したので問題はないのだろう。


カラスの喧嘩

その時、巣の上空では隣の縄張りのハシブトガラスと喧嘩が始まっていた。 ハシブトガラスたちも子育ての最中なのだ。 両者譲らず、すごい剣幕で鳴き声が響いている。

前を飛ぶのがハシボソのお母さん。後ろがハシブトガラスだ。 ずいぶん体格の差があるようだが、 大丈夫か?


カラスの喧嘩

スピードとパワーでは勝てない相手だ。 だがハシボソのお母さんも、ヤルときはヤルのだ。

追いつかれそうになると、わざと空中で急減速する。


カラスの喧嘩

フェイントに不意を突かれたハシブトガラスは、 避けきれず接触した。


カラスの喧嘩

攻守逆転。 上をとったハシボソのお母さん。

非力がゆえに編み出した技だろう。

この数日、ハシブトガラスたちは特に神経質になっている。

ハシボソ夫婦が巣立ちを急いだのも、それが理由かもしれない。




松の木に置き去りだった弟も、午後には無事に巣立って行った。

それから数日の間、私は巣立った子ガラスを追って何度も森の中を探すのだが、 子ガラスの姿を見つけることができなかった。

ハシボソガラスの夫婦

木の枝に止まるハシボソ夫婦。辺りを警戒している。

今年は、ハシブトガラスと巣立ちの時期が重なったようで、 両者とも非常に神経質になっているのだ。 子ガラスの姿が見えないのは、 おそらく居場所を転々と変えて子ガラスを隠しているからだろう。

落ち着いた頃に子ガラスを連れてくると思うので、 それまで待つことにしよう。




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2018年5月27日公開

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