今年の子ガラスたちは警戒心が強い。二週間前に一度姿を見せて以来、エサ台に来ることはなかった。お父さんを追って庭まで来るものの、いつも向こうの木に隠れているのだ。野生動物にとって警戒心は重要だが、幼鳥期は好奇心こそが成長の原動力でもあるのだが。
6月29日朝
先程まで降っていた雨は上がり、お父さんがやって来た。
子ガラスたちの声も後ろから聞こえてくる。
久しぶりに子ガラスが姿を見せた。
ようやく三羽の兄弟全員が揃った。
子ガラスたちは落ち着きなくウロウロしている。
お父さんと目が合うと一斉にエサをねだる。
子ガラスたちは警戒心が強く、私の存在に気が付いてお父さんのうしろに隠れた。
6月30日
昨日まであんなに警戒していたのに、
いきなり子ガラスがエサ台に降り立った。
エサ台にはトビウオの刺身が置かれている。
ちなみにトビウオは今が旬で刺身が旨い。
お父さんが刺身を持ち上げた瞬間、子ガラスたちのおねだりはピークに達する。
もったいぶるお父さん。
「あっ! 落としちゃった。」
じっくりと時間をかけた後、子ガラスの口に刺身を放り込む。
よく見ると、後ろの子ガラスはお父さんが落とした刺身をちゃっかり頂いている。
お父さんに甘える子ガラスたち。
自力で採餌ができるようになるまで、まだ時間が掛かりそうだ。
2023年7月2日 公開