ハシボソのお父さんと子ガラスが仲良くエサ台にやって来た。
同じような体格で区別がつかないが奥にいるのが子ガラスだ。
立派な体格にあわせて態度もデカいドラ息子である。
お父さんと仲が良いのか分からないが、
最近は一緒に行動していることが多い。
おっと? 両翼をゆさゆさして甘えた声を出した。
エサをねだる時だけ子ガラスモードに変わるのだ。
すでにお父さんと同じように見えるが、この時期の子ガラスはまだ幼鳥の特徴を残している。風切羽は通常よりも黒色が薄く太陽に透かすと茶色に見え、全体的にボソボソと痛んでいるのだ。そして口の中はまだ赤色が残る。
子ガラスにはエサを与えずに自立を促したいのだが、こいつは両親の隙をついて一番乗りで来ることがある。庭木に隠れて待っているのだろう。カラスらしく賢い一面もあるのだ。
エサ台には鶏のささみを丸ごと置いたのだが・・・。
大きすぎて一度に飲み込めないようだ。
カラスにしてはバカっぽく見えるが・・・、
まだ生後8カ月の子どもだから仕方ない。
この場で丸飲みにする必要が無いことにようやく気が付き、安全な場所に持っていくことにしたようだ。
その様子を離れたところから見ていたハシボソのお母さん。自分よりも体のサイズがデカいドラ息子に手を焼いているようだ。
ささみは二個置いたのだが、もう一個は残っていたようだ。
バカ息子とは違い堅実に貯食するらしい。
この茂みの中がいつもの隠し場所なのだ。
あれ? クルっと向きを変えた。
ドラ息子にバレるのを気にして慎重になっている。
「どこに隠そうかな?」
「未熟なヒヨコとの違いを見せてやろう。」
「いや、見られてはダメなのだが。」
「ここだ。この落ち葉が積もった屋根の窪み!」
「上から落ち葉をかければ完璧。」
「あのドラ息子にも気づかれまい。」
隠した場所を見に行ってみると、上から見ただけでは全く分からない。
落ち葉を何枚かどかしてようやく見えてきた。
経験を積んだハシボソらしい丁寧な仕事である。
2021年11月21日 公開