2月中旬から巣作りを始めたハシボソガラスの夫婦。 長年、連れ添ったこの夫婦は協力して手際よく作業を進める。 だが彼らは特に仲が良いわけではなく、 自己中の夫とそれを献身的に支える妻という関係である。
この画像は2月10日のもの。
エサ台のドッグフードを食べる夫のところに、
妻が後からやって来た。
仲良く食べるのかと思えば、
「ズイっ」と、詰め寄るお父さん。
別アングルのカメラから見てみよう。
妻はすっかり怯え、悲しげな声をあげている。
目の前にいる自分の妻を威圧し、食べ物を独り占めだ。
見ていて悲しくなるほどの仕打ちである。
「今度は愛妻家」という映画があるが、 その映画の序盤のストーリーを思い出させる。 世の中の自己中な夫たちが見るべき映画だ。 ハシボソのお父さんにも見せてやりたい。
そして産卵の時期を迎える
3月8日。 いつものように大好物の卵黄を食べるお父さん。
「今日もオレ、腹いっぱい食べちゃうよ~!」
「一つはここで食べて~、残りは持って帰ろうかな♪」
「・・・、」
だがお父さんの動きは止まった。
何か悩んでいるようだ。どうしたのか?
「・・・、」
空を見上げるお父さん。
しばらく自問自答の末、 大好物の卵黄を残して立ち去った。
そう、お父さんは自分の妻のために食べ物を残してやったのだ。
当たり前の話に聞こえるかもしれないが、 このお父さんにとってはすごい事である。
それを見ていた妻がやって来た。
粗暴で自己中心的なお父さんだが、妻への思いやりが芽生えたのだ。
だがその、ささやかな「思いやり」はこの時期だけの事である。
季節限定の愛妻家なのだ。
2018年3月11日公開