先週から急に陽ざしが暖かくなり、まだ気温は低いものの春の訪れを感じるようになった。
寒かった今年の冬も、ようやく終わりのようだ。
そして梅が咲くころにやって来るのはメジロ。
現在では法律で手厚く保護され、何人たりとも手出しできぬ崇高な存在となった。
二週間ほど前から我が家のウッドデッキに木の枝がポツポツと落ちている。
風に飛ばされて飛んできたのか?
それにしてはいつも同じような枝だ。 不思議に思っていると、そこにまた枝が落ちてきた。
あいつの仕業だ。
ハシボソガラスのお父さんである。 どうやら巣作りの材料を集めているようで、 森から枝を拾ってきては、ここで形を整えているらしい。
今年もいよいよカラスの子育ての季節が来たようだ。
ウッドデッキに枝が落ち始めた時期から考えると、 2月の中旬から巣作りを始めたようだ。 その頃はまだ朝は氷が張るほどの極寒の中だったが、 カラスたちはどうやって春の訪れを感じているのだろうか。
今年のケースを見ると、気温で判断しているのではないことは明らかだ。 おそらく太陽からの輻射熱の増加か、日照時間を基準にしているのだろう。
それにしてもなぜ、我が家の屋根で作業するのか。 雨どいが詰まるからやめてほしい。
さて、今年はどこに巣を作ったのか?
辺りを見渡してみると、 その場所はすぐに分かった。
そう、一昨年と同じ松の木だ。 我が家の庭を見下ろす位置にある。
元旦にハシブトガラスを森の奥に追いやったおかげで、 一番良い位置に堂々と巣を構えたようだ。
巣の材料はウッドデッキに落ちていた枝と同じものだ。 器用に長さを揃え、あそこに運んでは枝を編んでいたのだろう。
巣はもうほとんど仕上がっているようにみえる。
そして、巣の骨格部分を作り終えたハシボソ夫婦は、今度は内装の仕上げに取り掛かる。
見つけたのは犬の毛。 仕上げに柔らかい材料を敷き詰めてヒナの布団にするのだ。
これはハシボソのお父さんだ。 巣作りは主に彼の仕事らしく、珍しく積極的に働いている。
ベテランなだけに手際が良い。 そして、どこか楽しそうにみえる。
昨年のハシボソ夫婦は、この送電鉄塔に営巣したのだった。 この写真は2月上旬のものだ。
巣はその後、電力会社がきれいに掃除したようで跡形もない。
よく見ると鉄塔の頂上に一羽の鳥がとまっているが・・・。
朝焼けに照らされ浮かび上がる不気味なシルエット。
顔を右に向けていて分かりにくいが、
白いお腹にはゼブラ模様、そして背中は黒く、体格はカラスよりも少し大きい。
そう、こいつはカラスの天敵のオオタカである。
二月に入り頻繁に出没していた。
たまにキジバトを追いかける姿を見かけるのだが、
双方とも速度が速すぎて一瞬で目の前を通過するため、狩の撮影は全く無理である。
この鳥は、このようにジッと周りを見渡して獲物を見定め、一撃で襲い掛かる。
無駄なエネルギー消費を抑えた待ち伏せ方式の狩だ。
おそらくハシボソ夫婦はこのオオタカの姿を目の当たりにし、
ここに巣を作る気持ちが萎えたのだろう。
それは賢明な判断である。
2018年3月4日公開