ハシブトガラスのアディ君。今年で6歳となる彼はカラスとしては中堅であるが、未だに落ち着きがないのだ。
アディはハシブトガラスなのにハシボソのお父さんのことが大好きだ。 おそらく飼い主である私のことよりも好きなんだと思う。
そのハシボソのお父さんだが12月の中ごろ以来、ここに来なくなった。 いつものことではあるが、他所から侵略してきたカラスと縄張り争いを始めているのだ。
毎度の縄張り争いではあるが、何となく最近はハシボソ夫婦の勢力が衰退しているように感じる。
その様子を心配そうに見守るアディ。
今回はよほど神経質になっているのかエサ台には全く来ない。
来るかもしれないと思いエサを置くが、それも干からびていく。
出窓に陣取ったアディは上空を飛び交うカラスの集団を目で追っている。
10羽以上の集団の中にハシボソのお父さんの声も聞こえるが、私の目ではどれだか分からない。
しかしアディには明確に識別できるらしい。
集団の中にハシボソのお父さんを見つけては声援を送っている。
興奮して翼をバサバサやっているがそのうち飛び上がりそうな勢いだ。 転んでケガをしそうで心配。
縄張り争いはこの時がピークだったようだ。
そして夕方。
ハシボソのお父さんが二週間ぶりにエサ台に降りてきた。
エサ台にあるのはすっかり干からびた卵黄と牛肉。
まだ周囲を警戒しているのか急いで食べている。
食べきれない分を口いっぱいに詰め込み、そそくさと去っていった。
少し気になったのでこの時の画像を拡大してみると、眼の周囲がただれているではないか? これはケガというよりも何らかの感染症だろう。
ハシボソ夫婦の栄華もいつまでも続くわけではない。当然、いつかは終焉を迎えるのだ。 彼らの正確な年齢は不明だが、少なくとも10歳は超えている。もう若いころのような勢いはないのだろう。
ところでアディが静かだが・・・?
様子を見に行くと、小屋の隅でぐったりしているではないか!?
どうやら興奮して飛び上がったときに逆さに落下し顔面を強打したようだ。
左眼の周囲を強打したようだが、それをかばうように隠し私にも見せてくれない。 苦しそうな様子だが大きな外傷はないようにみえる。
カラスに限らず鳥の体調不良を見極めるのは難しい。 心配ではあるが原因はおそらく落下の衝撃であるため、このまま安静にしてもらおう。
そして翌日・・・、
恐る恐る小屋をのぞいてみる・・・、
「あれはアディだ・・・。」
お気に入りのオモチャで遊んでいる。
一晩寝たらすっかり元気になったようだ。
2021年1月1日 公開