12月11日
エサ台にいるのはハシボソの次男(左)と末っ子だ。次男は他の兄弟よりもクチバシが短いので簡単に見分けられる。しかも最近、クチバシの先端が欠けてさらに短くなった。
次男はイライラしているようだ。
とくに理由もなく末っ子に飛び蹴りを喰らわせた。
エサ台のカメラを見ていて気が付いたのだが、次男は最近、頻繁にアディに会いに行っているようだ。いつもカラス小屋に降りていく姿が写っている。
どうやらアディからエサを分けてもらっているようだ。
お父さんがアディからエサをもらっている場面を見て学習したのだろう。
アディはハシブトだからハシボソとは異種の鳥なのだが、カラスは異種間でも交友関係になることがあるのだ。
ところで、アディとバンが2年前に大喧嘩して以来、小屋の内部には仕切りが入ったままだ。
バン君の方は出窓があって環境は良いが、アディの所は殺風景である。何とかしてやろうと思いながら年月が経ってしまった。
そこで思いついた。
この地面に転がっている木は、先月発生した隣地での倒木に巻き込まれたものだ。 折れた枝が我が家の敷地に倒れ込んできたので、回収して葉をモンジロウに食べさせたのだった。
よくみると植物園にあるような雰囲気の良い樹木だ。これをカラス小屋に入れてみてはどうだろう。
さっそく、枝ぶりの良さそうな部分をカットした。
空いたスペースに木を設置した。
やっぱり鳥には樹木が必要なんだ。
動物園みたいに良い感じになったと思う。
さぞ喜ぶだろうと思ったが・・・。
「余計な事しやがって」という表情だ。
樹木で遊ぶように誘ってみるものの全くダメ。
エサで止まり木に引き寄せようとするも全くダメ。
もう少し様子を見て、ダメそうなら樹木は撤去しようと思う。
早いもので、アディは年が明ければ10歳になる。もう昔のような好奇心旺盛なカラスではないのだ。カラスも人間と同じで、歳をとると新しいものへの興味は失せて心は守りに入るのだ。
以前の眼がキラキラしていたころが懐かしい。
<本日のオマケ>
エサ台に転がっているこの物体だが、かなり前からここにある。これは何かというと、カラスの吐しゃ物である。いわゆる「ペレット」といわれるものだ。鳥は消化できないものを胃で圧縮したのちに吐き出す習性がある。
遡ること今年の夏
8月13日
ハシボソの次男がエサ台に来たときのことだ。下を向いて口を大きく開けている。
黒い物体を吐き出した。
それをエサ台に残して立ち去った。
8月27日
二週間経過した。真夏の直射日光を浴びたペレットは、乾燥した犬のクソのような感じになった。
誰もペレットの存在を気にすることなく時間は過ぎていく。
9月2日
ペレットはすっかり水分が抜けて乾燥し、風に吹かれて移動するが、エサ台から落ちることなく存在し続けている。
10月17日
しばらく姿が見えなかったペレットだが、カメラの死角に入っていたようだ。秋雨にもよく耐えているが、この頃から色が抜けて白っぽくなった。
10月25日
近所のハシブトも来た。ペレットには目もくれず豚肉を盗んでいく。
11月2日 暑かった夏も終わり、季節は秋へと移った。
ペレットは乾燥によりさらに重量が軽くなったようで、風に吹かれてフラフラしている。
11月11日
ペレットはエサ台の風景に溶け込むように自然体の姿となり、訪れる者たちを見守っている。
以前もペレットがエサ台に転がっていたことはあったが、他のカラスが持って行ったり分解して落下したりして消えるのだった。
しかし今回のペレットはしぶとく残っている。
12月12日 心地よい陽ざしだが、午後から北風が強まる予報だ。
12月13日早朝 ついにペレットが消えた・・・。
どうやら昨夜の突風で吹き飛ばされたようだ。4カ月の間、エサ台を守ったペレットだったが、ついにリングを降りたのだ。
ペレットは2メートルほど離れた地面に落下していた。
どうして分解しないのか不思議に思っていたが、巻き込んだビニール紐が骨格となってペレットを支えていたようだ。
このペレットを吐き出したのは夏だった。その頃は子ガラスたちが自力でエサを採ることを覚えた時期だが、見よう見まねで夢中に採餌して人工物まで食べてしまったようだ。
2025年12月14日 公開