ハシボソ夫婦の子どもたちが巣立ったのは5月15日のことだった。例年、巣立ちから一カ月くらいは子ガラスは姿を見せない。子ガラスたちは両親によって行動範囲を制限されているからだ。
巣立った子ガラスは安全な池の南岸で生活し、
まだ、ここに来ることを許されていない。
周辺のカラスの縄張りはこのようになっている。
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かつて、我が家の東側の一部はハシボソ夫婦の縄張りだったが、徐々に南西に後退し、森林エリアはすっかりハシブトの縄張りとなった。我が家の庭はハシボソ夫婦にとって最北端の地である。
時々、森のハシブトと小競り合いは起こるものの、この数年は概ね縄張りの秩序は保たれていた。
しかし・・・、
数日前からよそ者のハシブトガラスが4~5羽やって来て、周辺の縄張りを荒らし始めた。ハシボソ夫婦と森のカラスたちはそれを迎え撃つために飛び交い、入り乱れ、周辺は大騒ぎだ。
よそ者の侵入は半年ぶりであるが(過去ブログ参照)、前回のような大群ではない。しかし少数精鋭のようで、よそ者達は好き放題に暴れまくり縄張りの秩序は大いに乱れている。
6月20日
ついに、よそ者のハシブトにエサ台の存在がバレたようだ。
ハシブトは不思議そうにカラス小屋を覗き込む。小屋の中で二羽のカラスが寛いでいるという事実に、彼の理解は追いついていないだろう。
好奇心旺盛にみえるが、それよりも警戒心が強いといった方が正解だろう。
この得体の知れぬ小屋はいったいなんだ?
罠ではないのかと、入念に確認しているのだ。
おっと、もう一羽やって来た。
近くで見るとハシボソとは全く雰囲気が異なる。
強そうだ・・・。
いつも「カラス」と一括りにしているが、
両者が別種であることを実感する。
入れ替わりで別のもう一羽が来た。
彼はクチバシが標準に比べて大きく湾曲している。街で育ったカラスは栄養不足か添加物の影響か分からないが、クチバシの奇形がよく見られる。しかしこの程度なら生活には困らないだろう。
よそ者たちは5日間ほどこの場を荒らしたあと、どこかへ去って行った。彼らは、特定の縄張りを持たない遊牧民のようなカラス集団なのだ。
そして縄張りに平和が戻った。
6月22日早朝
いつものようにハシボソのお父さんが来た。
お父さんが鳴き声を上げている。
「あっ! 子ガラスだ!」
お父さんは子ガラスを呼び寄せたのだ。よそ者のハシブトたちが縄張りを引っかき回したおかげでカラスたちの行動パターンが変化し、行動制限はなし崩し的に解除されたようだ。
その日の午後
ついに子ガラスの兄弟が揃った。巣立ち以来、一カ月以上ぶりに見る子ガラスである。
順調に育っているようだ。右の大きい方が最初に巣立った子ガラスかな?
なぜ、お父さんが雄叫びをあげているのか分からないが、何かの教育か?
「オマエら! 準備はいいかぁー!」
「行くぞーっ!」
「だぁーーーっ!!!」
「・・・、」
よく分からないが、子どもたちに気合を注入しているのだと思う。
自然界は厳しいからな・・・。
2024年6月23日 公開