ハシボソ夫婦の子育ては順調に進んでいる。ここからは巣の中の様子は見えないが、給餌回数が日ごとに増えていることから推測できるのだ。
いったい何羽のヒナがいるのか分からないが、そのうち姿を見せるだろう。
お父さんが食べ物探しに苦労しているようなので、この日はゆで卵を半分に割ってエサ台に置いてやった。卵黄は美味しくて栄養たっぷり、卵白は高タンパクだからヒナの成長に役立つでしょ・・・。
しかし・・・、
卵白を避けて黄身だけ持って行った。
残された卵白・・・。この卵は貴重な地鶏の有精卵なのに。
確かに卵白は味が薄い。カラスたちも、これが食べ物だとは思わないのかもしれない。人間の食べ物でも卵白のみで作った料理はあったかな? あぁ、あれだ、岡崎銘菓の「淡雪」。繊細な味の和菓子だ。
お父さんが去った後にスズメがやって来た。彼らも子育て中なのだろう。
大きな獲物に苦戦している。
すると突然飛び去った。
「どどーん!」 お父さん再登場!
スズメの目線で見たカラスはこんな感じかな?
「スズメ野郎には渡さないぞ!」
と、勢いよく駆けつけたが・・・、
やはり食べない・・・。食わず嫌いかな?
そしてエサ台に鎮座し、部屋の中に視線を送っている。まるで「別の食べ物を持ってこい!」と言っているかのようだ。あんなにプライドの高いカラスだったのに、最近は何だか変だ。思い当たることと言えば、やはりハシボソのお母さんのことだ。彼女はあまり活動していないようにみえるのだ。エサを巣に運ぶのはお父さんの方が多い。
彼らと私は長年の顔見知りだが、互いに手の届く距離に近づいたことは一度もない。
私が庭に出ると飛び去って行く。私との距離を常に意識していて、近づける限界距離はだいたい7メートルくらいかな。
この日の夕方・・・、
お父さんは再びエサ台に現れた。さっきはお父さんの要望に応えず無視していたので、エサ台には卵白のみ。しかもスズメにかじられて小さくなっている。
結局、小さくなった卵白を持って行った。ヒナが腹を空かしているし、贅沢は言っていられないのだろう。
翌朝
昨日の卵白は不評だったから今朝の朝食はドッグフード・・・。
背後に感じるカラスの気配・・・。
こんなに至近距離に近づくことは稀だが、
私が背中を向けているからだろう。
ここは振り向かずに立ち去るのが粋ってものだが、
私はそういうタイプの人間ではないのだ。
私が足を止めた瞬間、
彼は秒速で消えた。
「何か怪しいぞ、この人」って、バレていたようだ。
野生動物に警戒される人って、予測できない行動をとるからだろう。
定点カメラに記録された自身の行動を見て、改めて自覚するのであった。
この時に撮影した一枚
↓
結果として、彼らとは程よい距離感を保っているのであった。
2021年4月25日 公開