初夏の風が心地よい。青々と茂った雑草にヤギは夢中、そして野良猫はそよ風にあたりながら昼寝。
このままずっと寝ていたい・・・。
しかし、カラスたちは昼寝をする暇もなく忙しさはピークだ。
ハシボソ夫婦が巣を往復する回数は日毎に増えてきた。
今年はヒナの成長が遅いようで、まだ姿を見せない。時々クチバシの先が見えるくらいだ。春に雨が続いたのでエサが少なかったのだろう。
午前4時40分。まだ辺りは暗いが、この時期のお父さんは夜明け前から活動を開始しているのだ。
時にはアディから食べ物を分けてもらうことも・・・。
なりふり構わず食べ物を集める姿に子育ての忙しさがうかがえる。
少し手伝ってやろう。
エサ台にいろいろ置いたから好きなものを持っていけ。
お父さんはカラスバーグを先に取り、次にドッグフードを持って行った。
トマトは要らないらしい。成長期のヒナに必要な栄養素はタンパク質であることを、親鳥は本能的に知っているのだ。
ならば豚肉はどうだ。
さっそくお父さんが取りに来た。
あれ? なぜか置いたはずのないドッグフードが?
説明すると、豚肉を発見して大喜びのお父さんがドッグフードを吐き出して豚肉を取ったのだ。まるで手品のようなすり替えである。
これはカラスによくみられる習性で、一度飲み込んだ食べ物でも、その後により良い食べ物を見つけると、前に食べたものをのど袋や胃から吐き出すのだ。
次は魚の刺身を置いた。これは「トクビレ(別名:八角)」という珍魚で、全身エンガワのような脂身をもった魚だ。これがカラスたちの大好物なのだ。
さっそくお父さんが刺身を取りに来た・・・。
「ん? まただ。今度の置き土産は何だ?」
よく見たらそれはスズメ蛾の蛹(サナギ)だった。お父さんはどこかで捕獲してきた蛹を吐き出して、好物の刺身と交換したのだ。
<本日のオマケ>
鳥は立毛筋が発達している。立毛筋とはその名のとおり、皮下にあって体毛(羽毛)を動かすための筋肉だ。寒いときにはお腹の羽毛を膨らませた姿を見かける。体温調節以外にも、頭部や背中の羽毛は感情の起伏に合わせて瞬時に膨張する。
ハシボソのお父さんは特に頭の羽毛が大きく膨らむ。まるで別の鳥かのように頭がデカくなる。人間においても時にアフロヘアなどで頭を膨らませることがあるが、それとは事情が異なるだろう。
では、カラスはどういうときに頭を膨らませるかというと、それは、感情が高揚しているときだ。嬉しいとき、楽しいとき、甘えたいとき、恥ずかしいときなどに頭を膨らませる。相手を威嚇するときなどは背中の羽毛を立ち上がらせることが多い。
「平常時」
↓
「MAX!」
体を大きく見せる効果もある・・・?
2024年5月6日 公開