カラスブログ2019年3月3日 巣作りの季節

春が来た。ついに、子ガラスが独り立ちしないまま巣作りの季節を迎えてしまったのだ。 これからいったいどうなるのか?

カラス

カラス小屋のむこうの枝に子ガラスがとまっている。 エサ台の上には卵黄があるのだが子ガラスは取りに来ない。 今はお父さんを待っているところなのだ。

エサ台に近づかないようにお父さんから躾されているのである。


カラス

お父さんがやって来た。左がお父さんで右が子ガラスだ。


カラス

お母さんは先にエサ台に来ている。


カラス

「誰も見てないし~、全部食べちゃおうかな♪」

温厚な性格の彼女だったが、最近はお父さん化してきたようだ。


しかし

カラス

  「・・・、」


カラス

 「ゲッ、見られてた・・・」

 お母さんは静かに卵黄を一つ戻した。


カラス

2月中旬から巣作りを始めたハシボソの夫婦。

当初は昨年と同じ松の木に巣を作ろうとしていたが、 途中で気が変わり鉄塔に変更したようだ。

ここは一昨年と同じ場所である。


カラス

木の枝をくわえて鉄塔に向かうが、すぐに巣の場所には行かない。

まず下の段にとまり周囲の安全を確認し、 迂回飛行しながら最上段に昇っていくのだ。


カラス

周りの外敵に巣の位置を悟られないようにする工夫である。

しかし、あんなに高いところを襲撃できるのは猛禽類くらいだろう。


オオタカ

実際に、今年はオオタカの姿を頻繁に目にする。

2月に入ってからも二度ほど、鉄塔の最上部にオオタカが鎮座しているのを見た。

当然ハシボソ夫婦も把握しているはずだが、 追い払う自信があるのだろう。 今年の彼らは強気だ。

しかし、ハシボソ夫婦にとって最大の敵はオオタカではなく、 鉄塔を管理する電力会社の社員だということを彼らは知らない。


カラス

鉄塔の周りを大きく旋回しながら、ようやく最上部に到達した。


カラス

鉄塔のどの部分に巣を作るかで、今後の観察にも影響する。

私としては塔体内の左手前を希望するが、 はたしてどうなるか?


カラス

左奥かな?

あの位置だと柱が邪魔で巣の様子が分かりにくいのだが…。

お父さんは上から様子を見て指示をしているようだ。


カラス

今度は右手前に変更したようだ。

こうして数日の間、枝を並べてはまた移動することを繰り返していた。


その間、子ガラスはどうしているのか?

カラス

子ガラスはイラついてる。

やり場のない感情から、しきりにクチバシを枝に擦り付け鳴き声を上げている。 両親が自分を無視し、何か別のことに熱中している。 子ガラスの立場としては言いようのない疎外感でいっぱいだろう。


数日後

カラス

巣の位置を決めかねていたハシボソ夫婦だったが、 最終的に決定した位置は鉄塔のアームの上だったのだ。

これは非常にマズいのである。


カラス

なにが問題かって?


カラス

巣の下にあるの白いジャバラ状のものは碍子(ガイシ)という絶縁体で、 それを介して電線がぶら下がっている。 その電線は被覆なしの裸電線である。 つまり、巣から長い枝が垂れて電線に接触すると、 電線とアームの間でショートする危険があるのだ。

電力会社が危険だと判断した場合、問答無用で巣は撤去される運命となる。 だがもし本当にショートしたら、ハシボソ夫婦は感電して焼き鳥になってしまうのだ。 それを考えると巣の撤去もやむを得ないことである。

今年はまさに綱渡りのような子育てであり、観察する私も緊張を強いられるところだ。 しかし、彼らはそんな事情を知るすべもない。


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2019年3月3日公開

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