ハシボソ夫婦が作った巣は二度にわたり撤去されたのであった。
そしてついに、ハシボソ夫婦は鉄塔を放棄したようだが・・・。
あれ? 鉄塔にまだカラスがいる?
ズームしてみるとカラスではなかった…。
「なんだあれは??」
ハシブトガラスの模型?
カラス除けに置かれたのか知らないが、あまり効果はないだろう。
さて、その後のハシボソ夫婦の様子は?
3月26日早朝
地面を歩くハシボソのお母さんが綿のようなものを拾い上げた。
あれはヤギの抜け毛だ。
毛の主はこちら
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春になりモンジロウの冬毛がボサボサと浮き上がってきた。
それを私が毎日ブラッシングしていたのだ。
少しブラッシングしただけでこんなに毛が抜ける。
そして風で転がっていった毛玉をハシボソのお母さんが拾っていたのだ。
ヤギの冬毛は保温効果が抜群なので巣の内装材にぴったりだ。 しかしこのような素材は巣作りの最終段階に使うものだ。 ハシボソ夫婦が作った巣は撤去されたばかりだが?
するとハシボソのお母さんは森の東の方に飛んで行った。
私はそれを見てすべて理解した。 森の中に他のカラスの古巣を見つけ、それを再利用するつもりなのだろう。
さっそく巣を探すことにした。ハシボソ夫婦が何度か同じ方向に飛んでいくのを見ていたので、だいたいの場所は把握できている。
それを追って竹藪を東へと進む。 この辺りは人が入らないので荒れていて、とても歩きにくい。
途中、何年か前に崖崩れを起こした場所があるが、それを登らないといけない。
崖を登ろうとしたとき、一羽の青い鳥が目の前を横切った。
竹藪にカワセミ?
その鳥が飛び出した所を見ると崖に穴が開いている。
これはカワセミの巣だ。彼らの子育ても始まっているのだ。
暗い竹藪のなか、わずかな木漏れ日を浴びて青の光沢を放ち飛んでいく姿は言いようもなく幻想的である。その様子を記録したい。だがしかし、私の撮影技術ではそれを写真で表現するのは無理だ。
参考までに、これがカワセミ。
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これは以前、すぐそばの池で撮った写真である。
このように川岸や池の畔の木にとまり魚を狙う姿をよくみる。
実際に見るともっと鮮やかな青色の光沢を放っている。
ということで、寄り道はせずに先に進む。
崖を登ると竹藪から雑木林に変わった。
おや? こんな所で密かにシイタケを栽培している人がいるようだ。
しばらく歩くと開けた場所に出た。来た道を振り返ると左端に鉄塔が見えるが、あれはハシボソ夫婦の巣があった場所だ。そしてここがハシボソ夫婦が向かった先の辺りだ。
あの鉄塔からここまで直線で300メートルくらいの距離がある。 ここに辿り着くまで森の中をずいぶん歩いたが、上空を移動するカラスなら数十秒で到着する距離だろう。
周辺の木を見上げると、巣はすぐに見つかった。木々が落葉している今は巣を探すのが簡単だ。 10メートルくらいの範囲に二個ある。
どちらも昨年以前に別のカラスが作った巣だ。つまりここは本来、ハシボソ夫婦の縄張りではない。
これは手前の低い方の巣。木の枝をきれいに編んで仕上げてある。
それにしてもちょっと位置が低すぎる。ハシボソ夫婦は高い所に巣作りする傾向があるのでこれは選ばないだろう。
もう一個の奥の方にある巣を見てみよう。先ほどよりも高い位置にある。
こちらの巣は鉄製のハンガーを多用している。
ハンガーが錆びている様子から推測すると、この巣が作られたのは昨年だろう。
おそらくハシボソ夫婦が選んだ「中古物件」はこれだと思う。 彼らが戻るまでここで待っていれば正解が分かるのだが、今はやめておこう。 彼らは今、とてもナーバスになっている。おそらくこの場所を誰にも知られたくないはずだ。
さて、周りのライバルから後れをとったハシボソ夫婦だが、 ここからどんな追い上げを見せてくれるのか。
2020年3月30日 公開