午前6時20分。暗闇のなかで東の空が少しだけ明るくなってきた。冬の夜明けは遅い。 そんな中で私のカラス観察は幕を開ける。 まだカラスたちは活動していないが、池の方からは水鳥の声が聞こえてくる。
鉄塔にとまっているのはカラス? いや違う、あれはオオタカだ。 誰よりも早くスタンバイし、寝ボケた鳩なんかを狙う作戦だろう。
この場所はオオタカが棲む森からは20kmくらい離れている。ということは、彼が森を出発する時点では完全な暗闇だったはずだ。 これは、オオタカが夜でも眼がよく見えているという証である。
東の空が明るくなってきた。森のカラスたちも活動開始だ。
カラスたちの朝は騒々しいものだ。それは彼らにとって朝のスタートは勝負の時間。朝の出足でその日のすべてが決まるのかもしれない。
奇声を上げ森から飛び出してきたのはハシボソのお父さんだ。前を飛ぶハシブトを追いかけながらの登場。
こういう時は暗がりでもよく見える大口径の双眼鏡を使用する。
「さすが管理人は早起きだなぁ」と、思うだろう。
実は・・・、
私の弱点は「早起きが苦手」なことだ。巣立ちの季節などは気合を入れて早起きするが、それ以外の平常時は6時過ぎの起床が限界だ。
つまり、私は今起きたところである。
冬という季節はこんな私にも夜明けの世界を見せてくれるのだ。 これが夏場になると午前4時前になるから私にとっては苦行である。しかし夏の早朝はカラスたちも活発なのだ。喧嘩に子育てに採餌など。そんな時、私は布団にくるまりながらカラスの騒々しい声を聞く。「あぁ、今起きればカラスたちが繰り広げる様々なドラマが観れるんだろうな・・・。」と、そう思いながらも夢の中に留まるのだ。
かつての私といえば、学生時代は毎日のように寝坊して遅刻。若いころに始めたサーフィンは早朝の良質な波をすべて逃し、魚釣りを始めれば海に着く頃には帰路に就く釣り人とすれ違う。早起きができないがために逃したチャンスは数知れず。そんな私の今年の目標は「夏の夜明けのカラス観察」である。
2020年2月2日 公開