ミケは自由気ままな野良猫である。しかし彼女は孤独だ。ミケの周囲にはアホなオス猫ばかりで仲間と言える猫もいないのである。
だがモンジロウが来てからは違う。ようやく心を許せる仲間ができたということか? しかし、ヤギとネコだから互いにジャレあって遊ぶことも無ければ食べ物を分け合うことも無い。
むしろ、かみ合わないことが多い。
唐突な行動に出るモンジロウに対し、まだ完全には心を許していないようだ。
だがそれはモンジロウにとっても同じこと。
昼寝をしているところに突然、忍者のように屋根から飛び降りてくるミケに何度驚かされたことか。
夜になるとミケはどこかに行ってしまう。
だからモンジロウの夜はいつも独りだ。
最近、朝になるとこの庭に新たな動物が来るようになった。
モンジロウも落ち着きなく目で追っている。
犬?
いや違う。
このフサフサの尻尾と鋭い眼光。これはキツネだ。
地面のにおいを嗅ぎながらウロウロしている。食べ物を探しているのだろう。 キツネが来ると森のカラスたちもザワザワと騒ぎだすのだが、これは狸が来た時とは明らかに異なる反応だ。
キツネは柴犬よりも小柄だが、狼のような大きな口に鋭い牙を持つ攻撃型の動物である。 実際にキツネは鶏などの家畜を襲うこともあるので警戒されるのだ。
このキツネはまだ若いのか好奇心が非常に強い。私が出かけた後の行動が気になるので定点カメラを確認してみる。
定点カメラの画像
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そこには庭で遊ぶキツネの姿が写っていた。
このキツネにとってヤギを見るのが初めてなのだろう。モンジロウに興味を示し遠巻きに見ている。
最初は恐る恐る近づくのだが動きの鈍いヤギを安全な動物とみなしたのか、大胆にもモンジロウをからかうような行動に出た。
モンジロウは嫌がっている様子だ。
ちょっかいを出しては離れる。
私がいたら追い払うところだ! 映像を見ているのがもどかしい。
この状態が15分くらい続いた。だがしかし・・・、
次の瞬間、 衝撃の展開が。
そこに登場したのはなんと! 野良猫のミケだ。
画面右からすごい勢いで飛び込んできた。
驚いて飛び退いたキツネを追いかける!
突然攻撃されたキツネは状況が理解できずに困惑している様子だ。
逃げるキツネを執拗に追い回すミケ。
そしてモンジロウを守るように盾になり、膠着状態が続く。
しばらく睨みあった末、キツネは退散したのであった。
猫パンチが通用するような相手ではないが、そこは気迫で押し切ったのだ。
ヤギと猫の間に育まれた不思議な友情である。
2019年10月26日公開