管理人ブログ2018年9月24日 海の掟

sx210

私は今、一年ぶりに自分の船を点検している。

昨年の秋に乗って以来、マリーナに置きっぱなしであった。

そして今日は、三年に一度の船舶検査の日である。

もうすぐJCIの検査員が来るころだ。

JCIとは、国から船舶検査業務を委託された特殊法人である。



日本の船舶業界は、とにかく無駄な規則が多く不評である。 しかし人々のボート離れが進んだ今では、 各種改革とサービスの向上に力を入れ始めたが、時すでに遅し。

「おっと、検査員がやって来た。」

sx210

ボートの上から軽く挨拶をする。

この距離から挨拶しただけで、 この後の検査の進捗が予測できるものだ。

検査員は厳しい人もいれば、フレンドリーな人もいる。 今回はラッキーだ。

しかしそれは検査員から見ても同じだろう。

「変な船に変な人でなくて良かった」と思っているはずだ。


sx210

検査は主に法定備品のチェックだが、 今回はそれは程々に済ませエンジンルームを熱心に見ている。

この検査員は船の安全に対して理解が深いのだろう。

法定備品などハッキリ言ってどうでもよいのだが、 これが新人の検査員だとそればかりを念入りにチェックする。


我々、船に乗る人間は出航前の点検を怠らない。 だが、その点検のほとんどは安全と何の関係もない法定備品の確認に終始する。 なぜなら、それを怠ると実に恐ろしいことが起きるのだ。 「海難事故?」いや、違う。海上保安庁の取り締まりである。

例えば、航行中に巡視艇に停船させられた時に、 船検証の積み忘れが発覚したとしよう。 些細な事と思うかもしれないが、実はそれは許されない罪である。 その件で後日、数度にわたって出頭させられ罪人のごとく事情聴取を受けた挙句、多くは書類送検される。 そして今度は検察に呼び出され運が良ければ厳重注意、 悪質と判断されると裁判所まで出頭し数十万円の罰金刑となる。 法定備品には浮き輪、バケツ、発煙筒など沢山あるが、どれか一個忘れただけで「前科者」となる。

それらの備品は桜マークの入った検定品でなければいけない。 どんなに高性能でも自前で用意した物ではダメ。それも違反となる。 あと、予備のエンジンを勝手に船内に積むのも違反である。

このように航海の安全と無関係な軽微の違反であっても罪人として扱われ、 厳しい仕置きがなされるのである。 まるで江戸時代の関所での出来事のようだ。

sx210

そんなような雑談をしながらも検査は進み、 何の問題もなく15分程度で終了した。

私は検査員を見送りながら、今日この後どうしようか悩む。

このままクルージングに出かけるか?


マリーナのスロープから

それにしても良い天気だ。風も穏やか。

しばらく雨が続いていたので余計に爽快な気分だ。


港内

海に船を降ろしエンジン始動。

進路上に見慣れないボートがウロウロしているが?


港内

あれはこの近くにある水産高校の実習船だ。 仲間同士で船を漕いでなんだか楽しそう。

だがしかし、そこに私語や笑い声はなく笑顔すらないことに気が付く。

今の私と違い彼らは遊びではない。厳しい訓練の最中なのだろう。


港内

ゆっくりと港を出た後は「ガバッ」と、スロットルを開ける。


港内

いきなり7千回転。

スポーツボートの常用回転は意外に高く、滑走時は5千回転以上を維持していなければいけない。 しかし、これで燃費は1時間40Lと意外に良好。

船の燃費は距離ではなく時間当たりの消費量で表される。


篠島

しばらく船を走らせると島が見えてくる。

右が篠島、左は無人島。

ここでは、よそ者は錨を降ろしてはいけないという暗黙のルールがある。

この海域の漁師は非常に排他的であり、 よそ者は容赦なく排除される。 どこの漁師でも縄張り意識が強いものだが、その中でもナンバーワン。

この辺りには人の住んでいる島が幾つかあるが、 島ごとに住民の気質が異なるのが興味深い。 その中には文化的でフレンドリーな島もある。


無人島

この海域はスナメリというイルカの仲間がたくさん泳いでいる。 だがイルカは漁場を荒らすので漁師からは嫌われた存在だ。

イルカと人間は競合関係にあるのだ。


無人島

風が止み、海面がヌルっとした感じになってきた。ほぼベタ凪。

あてもなく船を走らせても飽きるものだ。もう帰ることにしよう。


無人島

帰港途中に大型船とすれ違う。

あれは自動車運搬船だ。 止まっているように見えるが速度は意外に出ているので近づくのは危険。


自動車運搬船

船内には数千台の新車がすし詰めに積まれている。


自動車運搬船

続いてもう一隻。


自動車運搬船

今は錨を降ろして停泊中。入港の順番待ちだろう。

どちらが前なのか分かりにくいが、右が船首だ。


自動車運搬船

もう少し近づいてみよう。

全長200mくらいかな。壁のようにそそり立つ。


自動車運搬船

高さは約50m。

まるでダムの堰堤のような巨大な壁。


自動車運搬船

巨大な船なのに人の気配は全くない。

まるで幽霊船みたいだ。

海面上の高さと水面下の比率がアンバランスな印象だが、 自動車運搬船は実際にバランスの悪い船であり、過去には幾度も横転事故を起こしている。 そして、その度に積み荷の新車はスクラップとなる。


マリーナ

結局、1時間半ほどで戻ってきた。

船を洗ってカバーをかけて、また来年までお休みだ。

ところでこのマリーナでは今、 カラスが問題となっている。

カラスにボートを破壊される事件が多発しているそうだ。

私のボートはカバーが頑丈なので被害はないが、 椅子のクッションをほじくられた人もいる。


マリーナ

←犯人はコイツらだ。

この辺りのカラスは街のカラスに比べると野生的で屈強である。

なぜカラスがボートに悪戯するのか興味深い話だが、 やられた人はそれどころではないだろう。

対策を考えてはいるが、おそらくカラスたちが飽きるほうが早いだろう。


ブログホーム

更新履歴

2018年9月24日公開

News
ブログ