街で生ゴミを漁るカラスたち。 その姿を見た人からは「何でも食べる味オンチ」、 「腐ったものが好き」などと言われてしまうが、 実はそうではない。 カラスの味覚は非常に敏感で、鮮度の良いものや旨いものをよく知っている。
街でゴミを漁っているカラスたちをよく見てほしい。 とりあえず何でも引っ張り出しているが、 その中から食べられるものや好みのものを厳選している様子が分かる。
今回はそんなカラスたちの味覚を様々な食材でテストしてみよう。
まずは魚。
魚の刺身はカラスの好みの一つだ。 魚と言っても色々あるので、 この時期に旨いとされる魚をピックアップした。
一匹目は今が旬のイサキ。 活きジメした新鮮なものだ。 脂がのって旨い。
続いてゴマサバ。
アニサキスの恐怖がTV等で流布される現在、 アニサキス保有率の高いサバは生食が敬遠され値段も下がっている。 このサイズで800円。
刺身の味はシマアジにも勝り、 食感は弾力があるが硬すぎず絶妙である。 あらゆる魚の中で最も旨いと言っても過言ではない。
だが生食用のサバは一般にはほとんど流通していない。 鮮度が落ちるのが速くヒスタミン中毒の危険があるためだ。
続いてアジ。
この季節の定番。
今日はこの三種で寿司を握るので、 その余りをカラスに与える。
寿司ネタ用に魚をさばくと、どうしても切れ端が余るのだ。 だから寿司を握る日は、カラスの食事は刺身である。
彼らは毎週のように刺身を食べているが、 はたしてどの魚を選ぶのか。
さて、どれを取る?
私の予想はサバだが・・・。
あらゆる魚の中で最も旨い、至極の味。
我が家のカラスも理解しているはずだ。
さあ、その食通ぶりを見せてみろ!
あれっ?
イサキを取った。
サバではないのか・・・。
ぬおっ、!
次はアジを選んだ。
本命のサバは最後にまわしたぞ。
赤身のサバを選ぶと思っていたが最初に選んだのは白身のイサキ。 我が家のカラスたちは普段からこれらの魚を食べているので、 味は学習しているはずだ。 彼らは実はイサキが好みだったようだ。
ならば次は牛肉はどうだろうか。 イサキと和牛で比べてみよう。
イサキと和牛を交互に並べてみる。
和牛はよく脂がのっている。
一瞬迷ったように見えたが、ほぼ即断で和牛を取った。
やはり魚よりも動物の肉を好むようだ。
赤色を好むという説もあるが、それは違う。 ちゃんと経験から判断しているのだ。 赤いから好きなのではなく、 旨いから好きなのだ。
次はコレだ。
大好物のカスタードシュークリームを和牛と交互に並べてみた。
どちらも大好物だが野生の本能が肉を求めるはずだ。
おや?
「マテ」の状態からすでにシュークリームに熱い視線を注いでいる。
「ヨシ」の合図で迷わずシュークリームに突進。
ちょっと意外だ。
野生動物たるカラスが肉よりもお菓子を好むとは・・・。
ミルクの中にうっすらと卵黄の味、そしてほんのり適度な甘さ。 この絶妙な味のバランスが彼を虜にするのだろう。
あるいはカスタードに含まれるタンパク質と卵黄の栄養、 さらにエネルギー源である糖質が配合されていることを本能で感じるのか?
今回のテストによりカラスの好みが見えてきた。
魚よりは動物の肉が好き。 そしてカスタードクリームは理屈抜きで好きだということが判った。 ドッグフードや九官鳥のエサは今回は試していないが、 それらは試すまでもなく好物ランキングのかなり下の方である。
ところで、このようなテストは唐突に野外のカラスで試しても意味がない。 なぜならカラスは一度食べた味を学習するので、 未経験な食べ物は敬遠するからだ。 様々なものを食べさて学習させた上で、 後日改めてテストしないと正確な結果は出ない。
2017年8月6日公開