エサ台を作り替えてから二日間、結局ハシボソ夫婦は来なかった。
エサ台製作の様子 ←
それをいいことに子ガラスはエサ台を独占している。
ところで子ガラス三兄弟はついにこの一羽だけになった。他の兄弟は独立したのか9月16日を最後に姿を見せていない。
本当にハシボソ夫婦は来ていないのか気になり定点カメラを確認してみる。
すると写っていたのはハシボソのお母さんだ。
これはエサ台を設置してから2日後の画像である。
キョロキョロと辺りを警戒している。
一歩を踏み出せないお母さんを横目に、子ガラスが飛んできた。
子ガラスは迷わずエサ台に降り立ち卵黄をゲット。
目の前で卵黄を奪われるも、なす術もないお母さん。
結局、ハシボソ夫婦はエサ台には降りてこなかったのだ。
その後・・・、
次にやって来たのは…。
これはハシブトガラスだ。
隣接する縄張りのライバルである。
エサ台の煮干しを不思議そうに見ている。
煮干しを手に入れたハシブトは、大胆にもその場で食べ始めた。
よそ者に縄張りを荒らされているのにハシボソ夫婦は沈黙している。
いいのか!?
こんなハシブトヤロウを放置していても!
まるでこのエサ台は安全地帯となっているかのようだ。
そして5日が過ぎた
エサ台を設置してから5日目の朝、ようやくハシボソのお母さんが姿を現した。
慎重に周囲の様子を確認している。
屋根の上を歩き回り、様々な角度からエサ台周辺をチェックしている。
すると立ち止まり、上を見上げる。
お父さんがやって来た。
どうやらお父さんは自分の妻に安全確認をさせていたようだ。
軽く周辺の様子を確認し・・・。
ジャンプ! 今まで慎重だった割には思い切りの良い行動だ。
スタスタと枝を歩きエサ台に向かう。
だがしかし、あと一歩のところまで来たとき、お父さんの足は止まった。
「いや待て、罠かもしれない・・・。」
彼の中の危険センサーが反応したようだ。立ち止まり考える。
ここまで来たら危険なエリアはすでに通過していると思うが、最後まで慎重である。
もう一度、エサ台の卵黄を見てみる。
「今日の卵は程よく半熟だな・・・。」
お父さんの中で危険センサーと欲望がせめぎあう。
欲望が勝ったようだ。お父さんは最後の一歩を踏み出す。
ようやくエサ台にたどり着き、卵黄を口にする。
後ろに控えるお母さんは何か言いたげだ。
一度乗り越えてしまえばあとは早い。お父さんは卵黄を全て食べてしまった。
すっかり満足げなお父さん。妻に背を向け歩き出す。
さっきまでのビビリが嘘のように堂々とした姿だ。
毎度のことなので今さら期待はしていなかっただろう。
一応、エサ台を見てみるがやっぱり何も残ってない・・・。
常に慎重なハシボソ夫婦。野生で生き残るにはこれが最も重要なことであり、カラスにとって長生きの秘訣である。
2019年9月29日公開