姿の見えないウイルスの恐怖にかられ、多くの人がマスクを買いに走るものだから店頭にマスクはない。 不安を払しょくしたいならマスクやトイレットペーパーよりも知識を求めた方が良いと思うが、 ウイルス学の本が売りきれたという話は聞かない。
自粛の影響で行き場を失った高級魚は相場が下落し、ついに活〆の天然真鯛が通常の半値まで下落した。
おかげで私は毎日のように鯛しゃぶ、ブリしゃぶ、フグ鍋などを堪能している。
そのおこぼれはカラスにも。
そして野良猫のミケにも刺身が廻ってきた。
しかし私が価格崩壊した高級魚に舌鼓を打つとき、自粛を強いられた業界は泣いているのだ。 そのような当事者にとってウイルスの脅威よりも、その後に迫りくる不況からの生活破綻の方がよほど怖いだろう。 「人の命は経済活動によって支えられている」ということは否定しようのない事実である。
パニック気味な人間社会をよそに、動物たちはいつもと変わらぬ穏やかな春を迎えている。
最近、頻繁に出没するのはこの狸。
まだフカフカの冬毛をたくわえている。
そして草の無い季節を過ごしたモンジロウ。 彼にとって待ちわびた春だ。 南東側の土手には早くも雑草が生い茂り、もう食べ物に困ることもない。
モンジロウは冬毛がすべて抜け落ちスリムになった。 やせ細っているように見えるが、体重を測ると昨年末よりも増量し25kgを超えた。 これから草が豊富になるのでさらに大きくなるだろう。
今年は桜の花が長持ちだ。
桜の花と新芽はモンジロウの大好物。
二足歩行で高いところの枝をたぐりよせ、こし取るように食べる。
そして新入りも!
↓
なぜ鳩がいるのかって? 実は10日ほど前のことだが、力なく庭をさまようキジバトを見つけた。私が声を掛けるとその鳩は立ち止った。 ケガの影響で飛べず衰弱していたのだろう。それで保護したわけだ。
いつもカラスを相手にしている私にとって、鳩は実に分かりにくい鳥だ。 カラスと違い表情が乏しく、何を考えているのか読み取りにくい。
「早くここから出て森に帰りたい」と思っているのは間違いなさそうだ。
ミケが鳩の見張りをしてくれているように見えるが、そうではない。
さっき鳩にちょっかいを出しているところを私に見つかり、叱られたところだ。
猫の手が入らないようにケージも厳重にした。
しかし隙あらばという感じだ。
鳥に対する執着心がすごい。
ある意味、鳥愛好家である。
鳩の容体は順調に回復し、昨日、無事に元の森に戻っていった。
「ポッポハトヤマ」という名前を付けた次の日のことだった。
さて、ハシボソ夫婦はというと・・・。
まだ巣作りをしている。夫婦で地面を歩きまわり巣の材料を探しているのだ。
先週までは綿状の素材を集めていたが、この数日は再び枝を集め始めた。 今年は他のカラスが作った古巣を再利用することにしたのだが、やはりそれでは納得がいかないのだろう。
巣作りの進行具合は気になるが、もうしばらく巣の場所を観察せずに見守ろうと思う。
2020年4月20日 公開