管理人ブログ2020年9月19日 カラスの集団死 その後

9月1日に札幌市で発生したカラスの集団死について9月6日のブログで紹介した。 その後、9月14日(訂正1)[引用2]に配信されたニュースによると、死んだカラスの体内から農薬が検出されたということだ。 農薬が検出されただけでは死因の特定には至らないが、農薬が検出された時点でそれが死因の可能性が高くなった。

事件発生当初、地元のマスコミが食中毒とほぼ断定するような報道をしていたが、それは誤報だったようだ[引用1]。 何の根拠もなく誤報を発信したマスコミには呆れるが、それに惑わされずに捜査をした警察には感謝したい。 野生動物の集団死は慎重に原因究明する必要があり、検査もしないうちから報道機関が不確かな情報を流してはいけないのだ。 マスコミの発信力は大きい。それによる思い込みで真相が闇に葬られることもあるだろう。

どこで農薬を摂取した?

死んだカラスの体内からは有機リン系の殺虫剤成分(農薬)が検出された、とのことだ。 有機リン系の農薬にもさまざまな化合物があり、劇物指定された強毒性のものから一般でも購入できる比較的弱いタイプも存在する。

有機リン系の農薬は神経系に作用する、いわゆる神経毒である。 もちろん害虫を殺すためのものだが、その他の生物に対してもある程度以上の摂取量で急性毒性を現す。 これらの農薬を田畑に撒く際には原液を数百から数千倍に希釈して散布する。そして撒かれた農薬は日数の経過とともに効果は低くなり、やがて無毒化していく。

そのため通常は野鳥が一回で致死量に達するような農薬を摂取することは難しいが、時には運の悪い鳥もいる。 特に鳥に対する毒性の高いフェンチオン(商品名:バイジット)などが田んぼに散布された直後に、そこでエサや水と一緒に毒を摂取した鳥たちが死ぬこともあるのだ。 しかしそれは偶然に起こる不幸な事故である。

カラスの最大の敵は人間

9月6日のブログでも指摘した通り、街のカラスが集団死した場合はまず毒殺を疑うべきなのである。 理由は言うまでもないが、カラスに対して嫌悪感を抱く人やそれを通り越して殺意を覚える人もいる。 実際にカラスの被害を受けている農家は言うまでもなく、その他にも街から排除したいと思う人は多くいるということだ。 それは、この手のニュースがネット配信された際のヤフーコメント等を見るとよく分かるが、そこには動機たっぷりの人物が実に多くいるものだ。

そして毒を盛るまでの行動には至らなくても、役所にカラス関連の苦情を入れる人は多い。 その内容は「カラスに威嚇された」とか「カラスが煩い」など取るに足らないことだが、行政はその苦情に応えてカラスを駆除しているのだ。いわば行政サービスの一環である。 カラスに限らず最近では野良猫さえも許容できない人がいる。 人間社会には人間のみが住むべきであり他の動物は排除されるべき、という考えだ。

話がそれてしまったが、行政による駆除はともかく毒を食わせて殺すなんていうのは実に卑怯だ。 軽い気持ちでやっているのかもしれないが、その行為は鳥獣保護法及び動物愛護法に違反する犯罪行為である。 そういうことを計画している人は思いとどまってほしい。 死んでいったカラスたちにも親や兄弟がいて、これまで懸命に生きてきた道があることを想ってほしい。


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引用文献

1)「公園で死んだカラス5羽&衰弱した1羽見つかる…傷なし&鳥インフル陰性→食べたごみで"食中毒"の時期?」北海道放送, 2020年9月1日(最終閲覧日:2020年9月19日)
 https://www.fnn.jp/articles/-/80193

1)「カラス大量死 死骸から農薬の成分検出 何者かが食べさせたか 北海道札幌市」FNNプライムオンライン, 2020年9月14日(最終閲覧日:2020年9月19日)
 https://news.yahoo.co.jp/articles/946ceb06f7a3c7c5bb182201f855eafdd01af871

更新履歴

2020年9月20日 訂正 農薬が検出されたときのニュース9月8日→9月14日

2020年9月19日 公開

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