カラス小屋に迷い込んだ一匹のカメムシ・・・。
床を歩き回っている。
小屋の網を通り抜けて入ってくる虫は、
このくらいのミドルサイズだ。
カラスのおやつにちょうど良い。
さっそくアディの目に留まる。
普段、蜂やコガネムシなら迷わず食べるが、 今日の相手はカメムシだ。
さすがに迷っている。
以前、カメムシの強烈な臭気にやられて以来、慎重なのだ。
私は叫んだ・・・。
だが彼は行った。
進んで苦手を克服していく姿勢だ。
迷った末に摘み上げたカメムシ。
そして小屋中に漂う、腐ったパクチーのような強烈な臭い。
カメムシの最後の抵抗だ。
それは彼にも確実に効いている。
ゆっくりした動作は臭いを我慢しているためだ。
以下 閲覧注意!
哀れカメムシ。臭いを克服したカラスの前になす術もない。
まな板の上の鯉。
まずはカメムシをひっくり返し、調理の準備を。
私の叫びに耳を傾けるアディ。
が、しかし、無情にもカメムシの解体ショーは始まったのだ。
だが、この時点でカメムシの臭気が無くなった。 臭い成分を使い果たしたのだろう。 おそらくアディはそれを知っていて、 臭いが収まるのを待っていた思う。
あるいは彼も私も臭いになれただけか・・・?
ズバッ!っと、最も栄養のある腹の部分から食す。
私がアレコレ言う姿を見て、カメムシを差し出すアディ。
「試してみる?」
「あっそう・・・。要らないなら僕が全部食べるよ。」
その後、カメムシは跡形もなく食べられたのであった。
カラスは嗅覚が弱いと言われている。 中にはカラスに嗅覚は無い、という意見まであるが決してそんなことはない。
人間よりも鈍いが、ある程度の嗅ぎ分けができる嗅覚は備えている。 彼は今、臭いカメムシを食べているが、 以前、彼が最初にカメムシの臭いをかいだ時は、 鼻が曲がるような表情をしていた。 だが、慣れるのだ。
そう、 カラスは嗅覚が鈍いのではなく、 悪臭に対する許容範囲が異常に広いのだ。
2017年7月16日公開