ハシボソ夫婦の子育ては順調に進み、ヒナが時々巣から身を乗り出すようになった。
2019年4月29日
ハシボソ夫婦は早朝からせっせと食べ物を巣に運んでいる。
最近は巣の周辺の防衛に力を入れるようになった。
近くを飛んでくる鳥は水鳥だろうと追い払う。
ヒナが巣から身を乗り出し、翼を広げている。
もう巣立ちは近い。
5月4日
ところ狭しと動き回る二羽のヒナたち。
口を大きく開け、目の前にいるお父さんに食べ物をねだる。
あれ?
よく見ると一羽多いような…。
いま気が付いたが、巣には3羽のヒナが育っていたようだ。
そういえば最近、ハシボソのお母さんが地面に降りて食べ物を探したり、 カラス小屋の残り物を拾う姿をよく見る。
食べ盛りのヒナが三羽もいたら大変だろう。
ヒナたちは1時間に1回くらいのペースで羽ばたき運動をしているが、 それ以外は巣にうずくまって休んでいる。
大きなヒナが三羽もいるのに外からは全く見えないが、おそらく三羽並んで身を寄せ合っているのだろう。
5月6日早朝
両親が巣のそばにとまり、ヒナたちに巣から出るように促している。
それに応えるようにヒナたちは一羽ずつ立ち上がり翼を動かす。
全員で立ち上がると窮屈そうだ。
腹が減っているのだろう。
周囲を見渡し両親の帰りを待ちわびる。
戻って来た。
順番に食べ物をもらうヒナたち。
7時を過ぎたが、巣立ちの兆候は見られない。
おそらく今日の巣立ちはないだろう。
今日は風が強く、しかも午後からは雨が降る予報だ。
18時
天気予報の通りに雨が降り出した。
この季節には珍しく激しい雷雨だ。
親鳥の給餌も今日はおしまい。
こんな雷雨であっても親鳥がヒナに添い寝することはなく、 ヒナたちだけで嵐の夜を過ごす。
5月7日 午前5時40分
昨夜の雨は上がり快晴だ。
ヒナたちは巣から身を乗り出している。
今日は朝から風が強い。 鉄塔の上はもっと強風だろう。
とても巣立ちできるコンディションではない。
お父さんが戻って来た。
この強風に、お父さんも風のタイミングを読みながら着地する。
のど袋にたくさんの食べ物を詰めている。
お父さんが給餌を終えて飛び去った後、一羽のヒナが巣から出てきた。
かなり厳しいコンディションだと思うが…、
行くのか? 今日?
兄に続けとばかりにもう一羽のヒナが大きく翼を広げ、巣から出てきた。
風切羽の根元に白く羽鞘が残っているのが見えるが、羽の長さは十分に伸びている。
これなら飛び立つことができるだろう。
明日は風もなく穏やかになる予報だ。
もう一日待ったほうが良いと思うが…。
だが明日の天気など彼らには知るすべもない。
気持ちが高ぶるともう止められないのだろう。
ヒナが巣から出たのを見たお母さんが、すぐに飛んできた。
両親にとっても今日の巣立ちは想定外だったのかもしれないが、 こうなったらやるしかない。
ヒナはバタバタと翼を動かしながらお母さんの方へと歩んでいく。
お父さんも慌てて駆け付け、鉄塔の下で待機する。
後に続くヒナも鉄塔のフレームを進む。
これは間違いなく今日が巣立ちの日だ。
観察開始から1時間経過
その時、強風に煽られながら鉄塔の上空を飛んでいくものが…。
「なんだぁ、あれ?」
私はおもわずカメラで追いかけた。
「なんだよアレ!?」
「どこから飛んできたんだ?」
どうでもいいが、今日の風の強さをよく示している。
緊張が緩む出来事だ。
謎の飛行物体に気を取られたその時・・・、
2019年5月13日公開