これは海で出会ったラスタマンからもらったミサンガ。
緑、黄、赤の三色カラーがラスタのシンボルである。
この色の三色旗は元々はエチオピアの国旗であるが、
今ではラスタカラーとして定着し、
ラスタマンに限らず多くのサーファーやレゲエ愛好家に愛されている。
だが、我が家のアディはこのラスタカラーが大っ嫌いなのだ。
手の中にミサンガを隠し、小屋に入る。
「何かくれるの?」
近寄ってくるアディ。
「どうぞー。」
ミサンガを見たとたんに慌てて逃げていった。
そして絶対に近寄って来ない。
黄色を嫌がるという説もあるが、
カラスが黄色を嫌がるという根拠は特に無い。
おそらくこの緑、黄、赤の繰り返しのパターンと、
それが紐状であることがポイントだと考えられる。
だがら、ゴミ捨て場にラスタの旗を掲げても効果はないだろう。
これはどうだろう。
ヒヨコのおもちゃだ。
黄色とピンクの派手なカラー。
さっきのラスタカラーから緑を抜いた配色だ。
目を輝かせて興味を示すアディ。
「ゲット!」
やはり黄色を嫌がるということはない。
手に入れたおもちゃはまず、入念に調べるのだ。
そして水に浸ける。
カラスは食べ物をよく水に沈めて隠すが、
気に入ったアイテムも同じように水に浸ける習性がある。
水に浸けることで臭いの拡散を抑えているのだろう。
他の動物に盗られないための本能だ
ヒヨコを連れて回るアディ。
すっかり気に入ったようだ。
そして安全な場所に収納。
盗られないか心配でヒヨコに寄り添っている。
だがしかし・・・、
ヒヨコが見捨てられるまでに、それほど時間はかからなかった。
つづいてコレ。
この姿はダチョウのヒナかな?。
お腹を押すと、
「ビェー、ビイェー、」と、
リアルな声を出す。
グロテスクではあるが作者のセンスを感じる造形だ。
インパクトのある眼に一瞬ひるんだが、 すぐに気を取り直す。
「ビェー、ビェー、」と、鳴き声を上げるダチョウのヒナ。
押すと声が出るのが興味をそそるようで、
音の出所を探る。
獲物を捕らえたかのように、足で押さえつけている。
さっきのヒヨコと比べると、リアルでグロテスクな形状だ。
カラスにはハンターの側面もあるので、
その本能を刺激するのだろう。
ヒヨコよりもこちらの方が好みのようだ。
ダチョウのヒナはすでに声帯をやられたようで、
「ブヒュー、ブヒュー」と,
苦しそうな声を上げている。
そして翌日・・・、
カラス小屋の奥には、 ボロボロになって横たわるダチョウのヒナの姿があった。 体中を突かれ、ボロ雑巾のように捨てられている。
飽きるのが先か、壊れるのが先か・・・。
カラスのおもちゃは寿命の短い消耗品である。
2018年4月8日公開