この猫缶は良質な天然素材を原料に作られている高級品だ。我が家の猫たちに試しに与えたところ喜んだのでケースで購入した。だがしかし、一週間もしないうちに飽きて食べなくなった。何が気に入らないのか知らないが、調味料たっぷりの安いエサの方が好みらしい。仕方ないのでカラスたちに食べさせている。
ハシボソ夫婦にも食べさせてやろうとエサ台にバラまいてやった。
ハシボソ夫婦の反応を見ようと待っていると、一羽のキジバトが現れた。そして猫のエサをジッと見つめている。キジバトが猫のエサを食べるのか?
あっ、食べ始めた。
するともう止まらない。夢中になって食べ続けている。
普段は木の実や虫を食べている彼にとって初めて食べるマグロの加工食品。この味に衝撃を受けたのか?
すっかり満足して森に帰っていくキジバト君・・・。
そして・・・、
翌日もエサ台にやって来た。
よほど昨日の猫缶を気に入ったのだろう。
しかしこの日の朝食は大粒のドッグフード。猫缶を期待していたキジバト君は戸惑っている様子だ。
しかしこの場所に旨いものがあると知った以上、試さずにはいられない。警戒心が強いキジバトにもこういうチャレンジ精神が旺盛な者もいるのだ。
しかし粒が大きすぎて飲み込むことができない。
クチバシに力を入れて砕こうとするもパワー不足だ。
どうする? キジバト君よ。
「あっ・・・、」
「落としちゃった・・・。」
落ちていくドッグフードを見つめながら考えるキジバト君。そこに迫りくるカラスの影・・・。
遅れてエサ台にやって来たのはハシボソのお父さんだ。
キジバト君をかるく蹴散らしドッグフードにありつく。
余裕の表情でドッグフードを頬張るカラスを見て改めて思う。カラスは顔の大きさに対して口がデカいということを。いや、ハトの口が小さすぎるのか・・・?
2021年9月19日 公開