カラスは餌を隠して貯蔵する習性がある。 一度に食べきれないエサを、後日ゆっくり食べるためだ。
その隠し場所は知恵を最大限に発揮するところである。 他の動物や、 何より他のカラスに見つからない所に隠すことが重要だ。 そして隠した場所を忘れないように記憶しておく。
だが、同じ小屋で二羽のカラスが同居していると、エサの隠し場所に困るのだ。
どこに隠しても背後から見られているわけで・・・。
自分の手が届くところは相手も手が届くわけで・・・。
貯食の本能を満たすことのできず、さぞ歯がゆいことだろう。
そこで最近、アディが自ら考案した方法がコレ。
この給水装置にはペットボトルとの接続部分の奥に、小指くらいの空間が空いている。 彼はその空間にエサを奥まで押し込むことにしたのだ。
クチバシを使って奥まで押し込めば、屈強な先輩カラスでも引っ張り出せない。 だが当然、自分でも引き出せなくなる。
彼の考えはこうだ。
私がカラス小屋の様子を見に来たタイミングで、すかさず給水器の前に来て、 給水器をつついて私に合図を送る。
その合図を察した私はペットボトルを外し、器を向こうに押し出してやる。
待ってました。 とばかりに隠しておいたエサを拾い上げる。
これなら先輩カラスに取られることも無く、安心である。
あえて自分の手の届かない所に押し込み、 人を利用して再び取り出す。 私が時々、水交換をしているのを見て思いついたのだろう。
目的の達成のために人間を利用する。 カラスの頭の良さを示す一例である。
賢いのはよく分かった。
だがしかし、水が汚れるからやめてほしい。 せっかくの自動給水器なのに毎日のように水を交換している。
いつもは能天気だが、時に思慮深い一面を見せてくれるアディでした。
2017年4月15日公開