昨年は子育てで忙しかったミケだが、今は自由気ままな野良生活である。
そして我が家に居ついた野良猫がもう一匹。
後ろで変なポーズでミケにアピールしているアイツだ。
彼は野良猫のハクホウ♂ ミケを追い続けて2年。
憧れのミケと一緒にいられる喜びを全身で表現している。
男がアホなのは猫の世界でも同じことだ。
以前はこんなにリラックスした姿を見せなかったのに・・・。
我が家のメンバーに加わったとたん、気がゆるんだようだ。
しかし、いつもミケと一緒にいるからといって特に仲が良いわけではない。
ハクホウの想いは相変わらず一方通行である。 その情熱はもはやストーカーに近いものを感じるが、 猫の世界にもこのような恋愛感情があることを知った。
しかし、そんなささやかな幸せを邪魔する者が。
低い唸り声が響く。ハクホウの縄張りに侵入した若いオス猫だ。
どちらも似たような模様で区別が付きにくいが、 左がハクホウである。
右の猫は昨年からこの周辺に現れた新入りだ。
新入りの名はホワイティ。
首輪をしているので誰かの飼い猫のはずだが、実態はほとんど野良である。
若くイケメンでありながら喧嘩も強い、しかも帰る家がある。
ハクホウにないものを全て備えているのだ。
飼い猫なんかに負けるわけにはいかない。
野良猫には野良猫のプライドがあるのだ。
ここまで互角のにらみ合いが続く。
ハクホウがチラリと私に視線を送るがこれは、
「加勢してくれよ!」という合図だろう。
しかし私は今、撮影のため両手がふさがっている。
ついでに言うと、私は猫同士のせめぎあいには口を出さない主義なのだ。
ハクホウよ! 今日はお前のファイトを見せてもらおう。
モンジロウのマヌケな声に集中力が削がれる。
よそ見をしている間に猫パンチの連打をくらったハクホウ。
すごい速さのパンチだ。
すっかり及び腰になってしまったハクホウ・・・。
上半身はまだ辛うじて戦闘態勢を維持しているが、 下半身はおしっこをするよな姿勢で今にも崩れ落ちそう。 それを何とか彼のシッポが支えている状態だ。
もう無理だと思うが「頑張れハクホウ!」
体重を活かして寝技に持ち込めばまだ勝ち目はある。
しかし彼のマインドがもう限界である。
だんだん腰が崩れてきた。
「ダメだこれは・・・。」
次の一瞬でハクホウはKOされたのであった
逃げ出したハクホウを見送り、勝利の余韻に浸るホワイティ。
良く見ると口元に何かくわえている。
それはハクホウの腰のあたりの毛だった。
素早くて見えなかったが、パンチ&噛みつきの合わせ技でKOしたようだ。
助けてやればよかったかな…。
その日の夕方、屋根の上に身を潜め意気消沈の様子のハクホウを見つけた。
最愛のミケの前でボコボコにやられ、 野良猫としてのプライドもクソもない状態だろう。
2019年5月4日公開