カラスの子育て2018 その2

4月に入ってから卵が孵化したようだが、 それでも相変わらず巣に座り込んでいる。 おそらく、孵化後間もない丸裸のヒナに寄り添っているのだろう。

だが変化はあった。 卵を温めるのは妻だけだったが、ヒナを保温するのは夫も交代しながら手伝っている。

そして先週あたりから巣は留守がちになった。 おそらく、ヒナの羽毛が生え揃い、保温の必要が無くなったものと考えられる。 同時に警戒心は高まり、近づく他の鳥を激しく威嚇するようになった。 その鳴き声は「グァッ、ガラララ、ガララララ、」という歯切れの良い警戒音である。

2018年4月20日

カラスの巣

巣から顔を出しているのはお父さんだ。

こうして巣に近づく鳥を警戒している。


カラスの巣

だが、巣の中の様子は全く分からない。

屋根に登って巣の撮影を試みるのだが、 巣の内部までは見えない。

どの位置からも巣の中は見ることができないのだ。

さすがベテラン夫婦だ。よく考えられた位置である。


カラスの巣に飛ばすドローン

そこでついに、禁断の方法を採用することにした。 今流行りのドローンである。 近年の法改正により、飛行区域は厳しく制限され、 居住地域はほとんど飛行不可になった。

だが、この機体のように重量200g以下は規制対象から除外され、 いまだに多くの場所で飛行が可能である。 この例外規定は玩具メーカーへの配慮であろう。


カラスの巣に飛ばすドローン

一応、小型のカメラも付いている。

今日はこれで巣の中を見てみよう。


カラスの巣に飛ばすドローン

目指すはあの松の木。

直線距離で約20m。 2.4GHzの送信機の限界に近い距離である。

おもちゃのドローンは風に弱いので無風のタイミングを狙う。 そして当たり前だが、夫婦が留守の瞬間がチャンスだ。

見つかったらひとたまりもない。


カラスの巣に飛ばすドローン

ハシボソ夫婦が出かけたのを見計らい、 いざ、テイクオフ。

ヘリに比べると操縦は極めて簡単。だれでも操縦できる。 3分くらい練習したのち、いきなり本番に突入。

何だかネタの尽きたユーチューバーのようなノリだが、 これは大真面目な「調査」である。


カラスの巣に飛ばすドローン

上空から見ると分かりにくいが、あれがカラスの巣がある松の木だ。


カラスの巣に飛ばすドローン

巣が見えてきた。 枝で編んだ円盤状の巣だ。

カメラの性能が悪すぎて判りにくいが、 二羽のヒナが居るようだ。

風でフラフラするので、2m位の接近が限界である。

このドローンで空撮するのはプロでも難しいと思う。


カラスの巣に飛ばすドローン

巣の中にうずくまる二羽のヒナが確認できた。 黒い羽毛が生え揃っている。

ヒナはまだ小さく、立ち上がることができないようだ。

しかし、ハシボソ夫婦をこれ以上刺激しない方がよいだろう。


2018年4月26日

今年は天候にも恵まれ、子育ては順調に進んでいるようだ。 そして子ガラスたちは大きく成長していたのだった。

カラスの巣

子ガラスが巣から身を乗り出し、口を大きく開けている。

どうやら、お父さんが戻ってきたようだ。


カラスの親子

子ガラスにエサを与えるお父さん。


2018年4月30日

巣の中のカラス

クチバシも伸びて、体格もカラスらしくなってきた。

巣立ちの時は近い。


2018年5月5日 午前4時30分

夜明けにハシボソ夫婦の怒声で起こされる。 そしてその声は森の奥の方へと移動していった。 この時、私は子ガラスが巣立ったのだと直感した。

ムクドリ

池の東側でハシボソ夫婦の怒声が響いている。

おそらく子ガラスが移動する先々で他の動物を威嚇し、 安全を確保しているのだろう。


オオスズメバチ

森の中を進むと「ブーン」という羽音が聞こえる。 目の前に現れたのはオオスズメバチだ。

写真では分かりにくいが非常に大型であり、親指くらいの大きさがある。 ソーセージが空を飛んでいるかのようなインパクトだ。

冬眠明けの女王バチが巣作りの場所を探しているのだろう。


オオスズメバチ

近くに寄ってくるが、女王バチには攻撃性が無いので大丈夫。

オオスズメバチは地中に巣を作るので、 巣の場所が全く分からない。 そのため夏以降には、まさに地雷のような存在となるのだ。


マムシに注意

それ以外にもマムシ、ヒル、ムカデなどがこの森に入る人を出迎える。

そのため、人間が立ち入ることはほとんどない荒れた森だ。

だがそれが、カラスの子育てにはちょうど良いのである。


ハシボソガラスの夫婦

すっかり寄り道をしてしまった。

ハシボソ夫婦の鳴き声のする方に進むと、 昨年と同じ池の東の森に辿り着いた。

木の上にハシボソ夫婦がとまり警戒音を発している。

ここは毎年、巣立ち後の子ガラスを飛行訓練させる場所だ。



ハシボソ夫婦の警戒音はこの場所で最も強くなる。 それは、ここに子ガラスがいることを示しているのだ。

だが、周囲の木を見渡しても子ガラスの姿が見えない。 木の枝に溶け込むように身を隠しているのだろう。

すると、ハシボソ妻の方が飛び立ち、巣のあった松の木の方へ戻っていった。


カラスの巣

私もそれを追って、松の木に戻ってみる。

何もいないようだが?


巣立ちの子ガラス

よく見ると!

松の木の二段下の枝にいるではないか、 一羽の子ガラスが。

どうやら弟が置いていかれたようだ。


巣立ちの子ガラス

子ガラスはそうとう焦っているのか、 母親の声を聞いて、羽をバサバサと大きく動かしている。

だがしかし、全開に広げたその羽は、 風切羽がまだ伸びきっておらず白い羽鞘が残っている。

ちょっと巣立ちには早いのではないかと思うが、 ベテランの両親が判断したので問題はないのだろう。


カラスの喧嘩

その時、巣の上空では隣の縄張りのハシブトガラスと喧嘩が始まっていた。 ハシブトガラスたちも子育ての最中なのだ。 両者譲らず、すごい剣幕で鳴き声が響いている。

前を飛ぶのがハシボソのお母さん。後ろがハシブトガラスだ。 ずいぶん体格の差があるようだが、 大丈夫か?


カラスの喧嘩

スピードとパワーでは勝てない相手だ。 だがハシボソのお母さんも、ヤルときはヤルのだ。

追いつかれそうになると、わざと空中で急減速する。


カラスの喧嘩

フェイントに不意を突かれたハシブトガラスは、 避けきれず接触した。


カラスの喧嘩

攻守逆転。 上をとったハシボソのお母さん。

非力がゆえに編み出した技だろう。

この数日、ハシブトガラスたちは特に神経質になっている。

ハシボソ夫婦が巣立ちを急いだのも、それが理由かもしれない。


松の木に置き去りだった弟も、午後には無事に巣立って行った。

それから数日の間、私は巣立った子ガラスを追って何度も森の中を探すのだが、 子ガラスの姿を見つけることができなかった。

ハシボソガラスの夫婦

木の枝に止まるハシボソ夫婦。辺りを警戒している。

今年は、ハシブトガラスと巣立ちの時期が重なったようで、 両者とも非常に神経質になっているのだ。 子ガラスの姿が見えないのは、 おそらく居場所を転々と変えて子ガラスを隠しているからだろう。

落ち着いた頃に子ガラスを連れてくると思うので、 それまで待つことにしよう。


2018年5月23日夕方

子ガラスの追跡観察を諦め、待つこと二週間。 時々、子ガラスの声は近くで聞こえるのだが、なかなか姿を見せない。

そして巣立ちから18日目にして、ついに姿を現した。

ハシボソガラスの親子

両親の後をついて飛んできた子ガラス。 まだあどけない表情だが、もう十分に飛び方を覚えたようだ。 手前にいるのはお父さん。

この日は日中に強い雨が降り続き、今は雨が弱くなったところだ。


ハシボソガラスの親子

エサ台には煮干しが置いてあるのだが、すぐには取りに来ない。


ハシボソガラスの親子

あえて、じらしているのだろう。

簡単に獲物が手に入っては教育によくないからだ。


ハシボソガラスの親子

腹をすかせた子ガラス。

口を大きく開けて食べ物をねだっている。口の中はまだ赤色。


ハシボソガラスの親子

あれ?

お父さんはクルっと向きを変え、エサ台を背に歩き出した。


ハシボソガラスの親子

「簡単には食べ物をやらないよ」

という教育方針らしい。

だがそれだけではなく、何となく意地悪さがにじむお父さんの背中・・・。


ハシボソガラスの親子

でも子ガラスにとっては偉大なお父さんだ。


ハシボソガラスの親子

お父さんはすっかり無視を決め込む。


ハシボソガラスの親子

子ガラスを置いて屋根の向こう側に消えた。


ハシボソガラスの親子

必死に声を振り絞って訴えるが、 その鳴き声は「ビャー、ビャー」と、子ガラス独特の小さな声だ。


ハシボソガラスの親子

お父さんが戻ってきた。


ハシボソガラスの親子

人間社会においても、こういうタイプの大人は存在する。

教育熱心と意地悪が融合し、自分自身でも理解できない複雑な心境である。


ハシボソガラスの親子

子ガラスは自分で獲物を取ることができないので仕方がない。

嫌なら早く自分で獲物をとることをおぼえるしかないのだ。 意地悪なようだが筋の通った教育方針である。


ハシボソガラスの親子

子ガラスは我慢の限界。


ハシボソガラスの親子

お父さん、カッコよくエサ台にジャンプ!


ハシボソガラスの親子

期待に満ちた表情の子ガラス。


ハシボソガラスの親子

お父さんは一撃で小魚(煮干しだが)を仕留めた!?


ハシボソガラスの親子

だがしかし、子ガラスには与えずに飛んで行ってしまった。


ハシボソガラスの親子

呆然と立ち尽くす子ガラス。

この後、お父さん+小魚を追って飛んで行ったのであった。



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2019年6月8日公開

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