哺乳動物のフン

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前のページではカラスのフンを電子顕微鏡で見てきたが、 意外にも腸内細菌などが見つからず想像していたものとは違った。 では、我々哺乳類はどうだろうか。 比較サンプルとして我が家の犬のフンを用意した。

犬のフンの電子顕微鏡画像

↑この画像は犬のフンを透過電子顕微鏡で観察したものだ。 無数に存在する楕円形の小さな粒子は全て腸内細菌。 左上に横に伸びているものは植物の細胞壁。 この犬はよく雑草を食べるのでその残骸だろう。 残骸と言っても細胞壁の構造はほとんどそのまま残っている。 要は消化していないのである。つまり下剤代わりに草を食べるのだろう。

犬のフンにいる細菌の電子顕微鏡画像

↑そしてこれが腸内細菌の拡大像だ。よく見られるグラム陽性の細菌だ。

犬のフンにあった未消化の植物

↑最初の画像で見えていた植物の細胞壁を拡大してみる。 セルロースの線維が見えている。


人間の口内細菌

哺乳動物と鳥類のフンは大きく異なることが分かった。 これを見た限りでは鳥類はあまり細菌と共生していないようにも見える。 ついでに我々哺乳類の最初の消化器官である歯を見てみよう。 ちなみにカラスに歯は存在しない。

口内細菌の電子顕微鏡画像

↑この画像は人間の口内から採取した歯垢の透過電子顕微鏡画像。 ここに見えている粒子は全て細菌。 こんなにも?この歯垢の持ち主はまったく歯磨きをしていないのでは?

いえ、全く普通の人間です。毎日歯磨きしています。 これらの細菌は歯に付着した垢を食べているのだろう。 現代は歯ブラシがあるからよいが、 こうして垢を分解してくれる細菌は本来、人間にとって必要なものだろう。 ちなみに、このサンプルは遠心濃縮などは一切していない。 歯垢を瞬間凍結したものだ。よって、歯垢そのものをそのまま見ている状態だ。

口内細菌の電子顕微鏡画像

↑口内細菌の一部を拡大していみる。


更新履歴

2020年4月29日改訂版 に移行

2016年12月3日公開

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