ネット上の誤情報に注意

「カラス、飼育、法律」などのキーワードで検索するとカラス関連のサイトが多く出てくるが、そのほとんどが情報系まとめサイトであり、内容が間違っていたりデマを含むので注意が必要である。鳥獣保護管理法は一つしかないにもかかわらず様々な言説が飛び交っているが、法律に沿っていない情報は信用してはいけない。ここでは代表的な誤情報について解説する。


「カラスの飼育は許可が必要?」

解説:そもそも野生動物の飼育は許可制ではなく登録制である(別の法律で指定された危険な動物及び外来種を除く)。さらに狩猟鳥獣であるカラスは飼養登録制度の対象外であるため役所への申請は一切不要である。


「法律にはカラスを飼ってもよいとは書いていないが?」

解説:法律とは国民の権利を制限するためのものであるため、法律の条文に規制の文言が無ければ合法となる。これは法解釈以前の初歩的なことである。


「役所で”カラスは飼えません”と言われた。」

解説:それは法律に基づいた発言ではなく、単に役所として住民への指導方針を示したものである。その理由は「野鳥を飼育することは好ましくない」という価値観から意図的に狩猟鳥獣とそうでないものを混同して法律を運用していることが原因である。


「カラスを保護したときは役所に保護許可をもらいましょう?」

解説:この文言はネット上でよく見かけるが、カラス救護の現実を知らない者による無責任な理想論である。そもそも「保護の許可」というのは法律上存在しないものであり間違いである。カラスの保護に対して行政が出すとしたら「捕獲の許可」である。しかし一部の自治体を除いてカラスを保護するための捕獲許可は出さないので、役所に届けて解決することはなく問題を悪化させる結果となる。


「保護ボランティアに登録したから保護できる?」

解説:自治体が定める動物保護のボランティアに捕獲(保護を含む)の権限はない。


「役所でカラスの飼養登録をした?」

解説:カラスは飼養登録の対象ではないので法律上の飼養登録は不可能。


「ネット上で”保護許可をもらったと”紹介されている?」

解説:それらの多くはデマであるが一部には役所を通して飼育している事例もある。法律上、どのような仕組みになっているかというと、まず、カラスを保護した人に自治体が認定する保護ボランティアになってもらい、そして保護したカラスは役所が捕獲したことにし、保護した人に終生飼養を委託するかたちでカラスを貸与しているのである。つまりこれは飼養登録や捕獲の許可ではなく、あくまで役所の権限で捕獲したカラスをボランティア市民に貸与した状態なのだ。現行の法律では実質的に傷病救護は成り立たないので、それを無理やり法律に当てはめるための手法である。保護した当事者は役所がこれほど複雑な処理をしたことを把握しておらず、自身が飼育しているカラスの法的な立場を理解していないことが多い。


「保護したカラスを飼育していることの法的な状態」

解説:法律上は「善意の救護」と「違法な捕獲」の区別はないが、法律の指針には傷病救護が明記されている。しかしそれを運用するはずの自治体において傷病救護の制度を確立していないか、またはカラスを除外していることがほとんどである。そのため、本来ならば取得しなければいけない捕獲の許可がない状態といえる。しかし、法解釈上は飼養登録の対象外である狩猟鳥獣に対して、違法に捕獲した場合でも飼養の禁止を適用できないことになっているため飼育自体は合法となる(*)。なお、狩猟期間中に狩猟禁止場所以外で保護した場合は、捕獲の許可は不要となる。

*改訂5版 鳥獣保護管理法の解説 p.172


「まとめサイトの誤情報」

解説:「カラス、法律、飼育」などのキーワードで検索してヒットするサイトのほとんどが「情報系まとめサイト」である。これらのサイトは、筆者が実際に取材したり経験したことが書かれているのではなく、ネット上に溢れる断片的な情報を集めて紹介記事に仕立て直したものである。部屋から一歩も出ずにコタツに入ったまま仕上げることができることから「コタツ記事」と言われることもある。素人が広告収入のために書いているので情報の正確性を期待できるはずもなく、内容のほとんどが間違いという質の悪いサイトも存在する。特に「保護許可の取り方」や「飼育許可の取り方」という情報は悪質なデマなのでご注意願いたい。


「結局、どの情報を信じればいい?」

解説:法律の解説書である「鳥獣保護管理法の解説」の最新版(2022年4月現在は第5版)に記されていることが全てであり、それ以外から引用している情報は信用してはいけない。例えば「役所の人から言われた」、「弁護士に聞いた」、「獣医師に聞いた」など。


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引用文献

『改訂5版 鳥獣保護管理法の解説』株式会社大成出版社, 2017年

更新履歴

2022年4月29日 公開

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