*このページにある「条文」及び「指針」は法律の原文をそのまま引用した。
*<解説>は「鳥獣保護管理法の解説 改訂5版」から原文を一部引用した。
*括弧内のページ番号は「鳥獣保護管理法の解説 改訂5版」のページ番号である。
鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りではない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。
二 第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
三 第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。
<解説: 捕獲等及び採取等の概念 p.64>
「捕獲等」とは、鳥獣を捕獲又は殺傷する行為をいう。「採取等」とは、鳥獣の卵を採取又は損傷する行為をいう。
このように鳥獣を殺傷し、又は鳥類の卵を損傷する行為は、鳥獣の保護への影響という面では自己の支配内に入れようとする捕獲又は採取と差異が無いことから、これらの行為と同様に制限することとしている。
~ 後略 ~
~前略~ 当該鳥獣を捕獲又は殺傷した時点である。~中略~ 銃弾が当該鳥獣に命中し、殺傷などの結果が発生した時点であり、銃弾が外れて逃げられた場合は未遂犯、銃弾が当たったものの当該鳥獣を確保するに至らなかった場合でも、「傷」という結果が発生しているので、既遂犯として処罰されるものと考えられる。
また、2(2は罠猟の説明文)の場合は、網又はわなに鳥獣がかかり、完全に捕獲者の支配下に入った時点と考えられる。~後略~
環境大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定に違反して許可を受けないで鳥獣の捕獲等若しくは鳥類の卵の採取等をした者又は同条第五項の規定により付された条件に違反した者に対し、次に掲げる場合は、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 鳥獣の保護のため必要があると認めるとき。
二 第二種特定鳥獣管理計画又は特定希少鳥獣管理計画に係る鳥獣の管理のため必要があると認めるとき。
三 捕獲等又は採取等に際し、住民の安全の確保又は指定区域の静穏の保持のため必要があると認めるとき。
2 環境大臣又は都道府県知事は、前条第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、前項各号に掲げるときは、その許可を取り消すことができる。
<解説: 命令を出せる条件について p.81-82>
~ 前略 ~
本規定により、違反行為を発見した場合には、その場で鳥獣の解放の命令を発すること等の鳥獣の保護及び管理上必要な措置が可能となり、これにより周辺の生態系への影響や鳥獣の個体自体への負担を軽減することができるようになった。
ただし、この規定は、あくまで第9条1項に違反して鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等した者に対しての措置命令であり、第8条の規定に違反した者すべてに対して、措置命令を行うことはできない。
なお、措置命令を行う者については、許可権限を有する者の職員が行うことになり規定上は非常勤、常勤の区別はない。しかしながら、違法性の判断に高度な知見を要し、当該命令には罰則を伴うこと、国においても措置命令を出すことのできる者を法令で特に限定していることを踏まえ、措置命令を出すことのできる職員は慎重に選考することが望ましい。
また、措置命令は口頭で行うことも可能であるが、訴訟の対象となることにも考慮し、書面で行うか、口頭で行った場合においてもその内容を書面に記録することが必要である。
第九条第一項の規定による許可を受けて捕獲をした鳥獣のうち、対象狩猟鳥獣以外の鳥獣(同項の規定により許可を受けて採取をした鳥類の卵からふ化させたものを含む。第二十二条第一項及び第八十四条第一項第七号において同じ。)を飼養しようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。ただし、第九条第四項に規定する有効期間の末日から起算して三十日を経過する日までの間に飼養するときは、この限りでない。
~ 二項以降略 ~
都道府県知事は、第十九条第一項の規定に違反して登録を受けないで対象狩猟鳥獣以外の鳥獣の飼養をした者に対し、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
~ 二項以降略 ~
この法律に違反して、捕獲し、若しくは輸入した鳥獣(この法律に違反して、採取し、又は輸入した鳥類の卵からふ化されたもの及びこれらの加工品であって環境省令で定めるものを含む。)又は採取し、若しくは輸入した鳥類の卵は、飼養、譲渡し若しくは譲受け又は販売、加工若しくは保管のため引渡し若しくは引受けをしてはならない。
<解説: 規制される行為 p.171-172>
本条により、違法捕獲鳥獣の飼養、譲渡し、譲受け、又は販売、加工若しくは保管のための引渡し若しくは引受けが禁止される。
本条でいう飼養とは、生きた非狩猟鳥獣を継続的に所持することをいい、譲渡しとは、所有権を他の者に移転することであり、譲受けとは、所有権の移転を他者から受けることをいい、どちらも有償か無償かは問わない。 ~後略~
鳥獣は、山野等にあって、専ら他の生物を捕食・採食し、個体の生と死を繰り返している。 このように生態系は野生生物の生と死によって成り立っており、自然の傷病による鳥獣の死も生態系の重要な一要素である。一方、人には鳥獣を敬い命を大切に思う気持ちがある。傷病鳥獣救護は、もともと人道的な行為として行われてきており、鳥獣保護思想上も生きものを大切に思う気持ちからなされてきた側面もある。 傷病鳥獣救護については、これらの考え方を踏まえつつ、絶滅のおそれのある種の保全や環境モニタリングへの活用、傷病の発生原因の究明とその予防措置等、生物多様性の保全への貢献に重点を置いて対応を検討する。
傷病鳥獣救護については、以下の考え方を踏まえて対応する。
(1) 目的や手法の明確化
傷病鳥獣救護により、生物多様性の保全に貢献する観点から絶滅のおそれのある種の個体を含めた鳥獣の放野を実施することや、救護個体に係る情報の収集・分析による環境モニタリング、傷病の発生原因の究明によるより効果的な予防措置を実施すること等、救護の目的及び意義を明確化することが重要である。特に行政による傷病鳥獣救護の実施に当たっては、こうした目的及び意義を踏まえて、鳥獣の管理を行うことが必要な種以外の救護を優先する等の対応を図る。なお、大量死や異常な行動をとる個体等生態系の異常の把握につながる情報を収集する観点から、情報の収集・把握の一元化等を図る必要がある。
(2) 獣医師、民間団体等との連携と地域住民の参画等による普及啓発
傷病鳥獣の救護にあっては、人と鳥獣との適切な関係の構築に向けて、地域住民の参画等による普及啓発が重要であることから、市町村、獣医師(獣医師団体を含む。)、動物園、自然保護団体等と連携しながら、収容、終生飼養、リハビリテーション等に携わるボランティアのネットワーク体制を構築し、研修等を通じてそれらの人材の育成を図る等、行政の指導監督等一定の関与の上で民間による積極的な取組を推進する。 なお、雛及び出生直後の幼獣を傷病鳥獣と誤認して救護することのないよう、都道府県民に対し周知徹底する。
(3) 傷病鳥獣の個体の処置について
傷病鳥獣救護がなされた個体については、法令の必要な手続を行った上で、必要なデータを収集し、(1)で明確化した目的及び意義に適合し、放野が可能な個体については、治療、リハビリテーション及び放野を行う。放野が不可能又は(1)で明確化した目的及び意義を踏まえて放野することが適当ではない個体については、治療、繁殖・研究若しくは教育のための活用、終生飼養又はできる限り苦痛を与えない方法での致死等を検討する。 収容に当たっては、法、種の保存法、外来生物法、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48 年法律第 105 号)、文化財保護法等関係する法令の趣旨を踏まえ、必要な手続を行う。 また、非狩猟鳥獣については、法に基づき、捕獲許可の有効期間の末日から起算して 30 日以内に、飼養登録をしなければならないことに留意すること。
~後略~
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
4-1 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる。
4-2 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの。
獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。
診療を業務とする獣医師は、診療を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
~後略~
法第十七条の政令で定める飼育動物は、次のとおりとする。
1 オウム科全種
2 カエデチョウ科全種
3 アトリ科全種
公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。
2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
2-6 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
<このページを引用する際の注意>
法律の条文には著作権がないのでご自由に引用してください。
ただし、解説書「鳥獣保護管理法の解説」はこの限りではありませんので、引用のルールをお守りください。
『改訂5版 鳥獣保護管理法の解説』株式会社大成出版社, 2017年
2020年10月11日 公開