7月2日
しばらく姿を見なかったハシボソ一家が戻ってきた。
皆、元気なようだ。口の中が赤いのが子ガラス。
もう一羽の子ガラスは自由に飛び回っているが、
この末っ子はまだ親にべったりと甘えている。
7月7日
この3羽は両親と末っ子。
我が家のエサ台に撒いたドックフードを食べに来た。
二羽の子ガラスの内、一羽は自分で餌を探すようになったが、
左の末っ子は雛のときのまま、口を大きく開けて餌をねだる。
こいつにとっては甘えることが仕事である。
口を大きく開けて羽をバタバタさせ、 お父さんに餌をねだっている。 だがしかし、お父さんは餌をくれないのである。 あんなに優しかったお父さんなのになぜ?
仕方なく右側にある餌の前に移動するが自分では餌を取らずに、 向かいにいるお父さんに餌をねだる。 だがお父さんはもう餌を分けてはくれない。
お父さんに自分で餌を取るように促され、 しぶしぶ餌を拾おうとする。 お父さんは暖かく見守っている。 お父さんのおでこの羽毛が逆立っているのは愛情の証。
うまく餌を拾えずに首をかしげる子ガラス。
イラつくお父さん。
お父さんのおでこの羽毛がペターッと寝てきたのは苛立ちの証だ。
カラスは気分の変化が非常に速い。
分かりやすく言うと喜怒哀楽が激しいということだ。
「もう知らん!」とばかりに飛んで行ってしまったお父さん。
呆然と立ち尽くす子ガラス…
「・・・・、」
「・・・・。」
「お父さーん!」
鳴けど叫べどお父さんは来てくれないのであった。
この数日後、
子ガラスたちは親に縄張りを追い出され、少し早い独り立ちを迎えた。
まだ甘え盛りだった末っ子の行く末が心配だが、
これが自然界の掟である。
人の世もまた、かくあるべきか・・・
それ以降、この子ガラスたちを目にすることはなかった。
2016年12月3日公開