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春から夏にかけて、巣立ちまもない子ガラスをよく見かける。 カラスは一度に2個から4個くらいの卵を産むが、 無事に成鳥になるのはその内の一羽程度ではないだろうか? と、思えるほどカラスの子育ては失敗が多く、 路上で行き倒れになった子ガラスを頻繁に見かける。
それではもし、巣立ちに失敗した子ガラスを見かけたら?
最も重要な事だが、親鳥が近くにいるのかどうかの確認だ。
この時期、巣立ち直後の幼鳥に自発的な飛行を促すために、
親鳥は少し離れて子ガラスを見守っているのだ。
だから、もし親鳥が付近で見守っていた場合、
子ガラスに近寄ると激しく威嚇してくる。
子ガラスに近寄っても親鳥の声が聞こえてこない場合・・・、
それはすでに親に見放された後である。
親鳥は子ガラスがケガをしたり、未熟で教育困難とみなした場合、
あっさりと子供を見捨ててしまう。冷たいようだが鳥の世界では当然のことだ。
そんな時は「迷わずに保護しよう。」と、言いたいところだが待ってください。
カラスの飼育というのは相当な覚悟が必要なのだ。
あなたにその覚悟はあるのか。
その先10年以上、カラス中心の生活になることを覚悟できる!
そうであれば保護してください。
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さて、保護したならまず、大きな怪我をしていないか確かめよう。 巣立ちまもない幼鳥は人間を恐れないので、両手で子ガラスを優しくホールドし、 持ち上げると良い。 もし暴れて触れない場合は、バスタオルを広げてカラスに覆い被せると、 急におとなしくなる。 骨折しているところがあると、その部分を触ると痛がるので分かる。 骨折している場合は、すぐに動物病院でレントゲンを撮ってもらう。 骨折は無く、怪我をして血が出ている場合だが、それは余程ひどくない限り放置しても良い。
子ガラスのエサは、ドックフードをぬるま湯で柔らかくしたものを与えると良い。
ぬるま湯で溶かすことで、エサと同時に水分を与えることができるのだ。
そして指でエサを摘まんで頭の上に持っていくと、自然に口を開けて食べる。
もし、エサを食べない場合だが、それは子ガラスにとって極めて危険な状態である。
すぐに動物病院に行くか、諦めて祈るか、どちらかの選択になる。
野生動物なので感染症が心配だろうが、人間と鳥類の共通の感染症は意外と少ないので、
とりあえずは気にしなくてもよいだろう。
野鳥はコクシジウムなどの原虫を持っている確率が高いが、
ブロイラーの鶏と違い、野生のカラスがコクシジウムが原因で死ぬことは少ない。
よって、投薬して駆虫するなどのストレスを与えるよりも、
放置して自己免疫に頼る方が良いと思う。
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「怪我した野生動物は自然の掟に従い放置すべき!」、という意見をよく聞くが、 それは確かにその通りだと思う。
だが待ってください。
街のカラスって野生動物ですか?
そりゃ法律では野鳥に区分されるが、もうすでに都会では人間に依存して生活している。
いわば野良猫と同類であろう。
ここまで人間社会に溶け込んだ動物に対して「野生の動物は自然のままに!」って?
それは違うだろう。
それはさておき、とりあえず「目の前にある助けられる命は助ける。」という考え方もありだと思う。
覚悟と責任を負えるのなら、という話だが。
カラスは人間社会に溶け込んでいるので忘れがちだが、 一応、野鳥なので鳥獣保護管理法が適用されるのでご注意を。 ただし、その中で狩猟鳥獣に指定されているので、 飼育自体は違法ではなく、捕獲に対して規定があるので、 各自治体に問い合わせるべきだ。
が、しかし、 役人というのは法律を厳しい方向に解釈して運用する傾向にあるので、 必要以上に厳しいことを言われる場合もある、 そんな時は最後は自分の中の正義感に照らし合わせて、 自己責任で判断してもらうしかないこともあるだろう。
未整備な法律を盾にとって、あれこれ指摘する人もいるが、
では、その法律は何のためにあるのか?
文字通り「野鳥を保護管理する」ための法律でしょう?
私の意見だが、傷病保護に対してこの法律を適用すべきでないと思う。
カラスと法律をあわせてご確認を。
このカラスは2014年の6月に海沿いの国道脇で拾った子ガラスだ。 車を走らせていると、何やら黒い物体がワサワサしているので、 注意してみると子ガラスだった。 右足と尾骨を痛めているようだ。 近くに親鳥がいないことから、 すでに親に見捨てられた後だろう。
「ピー太郎」と名付けた。
足の骨を骨折しているため起き上がることができない。
怪我をしてから時間が経っているようで、
とにかく餌をねだる。
この時はドックフードをお湯で柔らかくした餌を与えた。
ドックフードはカラスにとって総合栄養食だ。
口の中が真っ赤で目が青いのが子ガラスの特徴だ。
レントゲンを見ると右大腿骨が折れている。
後で気が付いたが尾椎骨も痛めていたと思う。
お尻の周りにフンが大量に付いて不潔極まりない状態だった。 羽毛を濡らすのは良くないのだが、 ぬるま湯でお尻を洗ってやった。 食欲は旺盛である。逆に食欲がなくなったときは、お迎えが来るときである。
吸水シートの上に座らせてやるが、 時々、体を起こそうとするのでその度に傷が痛むのだろう。 この状態で数日が経ったが、 外科的な手術をする以外に助かる方法はないだろう。 自分で手術しようと思い、準備を進めているところだった。
ある日、急激に食欲がなくなり、
それから一日ももたずに旅だった。
おそらく骨折した周囲で炎症を起こし、それが死因になったと思われる。
この時の教訓は、骨折は直ちに手術するべし、
躊躇して先延ばしにしてもどうせ死ぬからだ。
このカラスは幼鳥のころに羽の先端を、簡単に言うと手羽先の一部を骨折し、 路上で行き倒れているところを保護された。 こんな些細な部分の骨折でも場合によっては全く飛べなくなるのだ。 だが人に飼育されている分には生活に全く支障はなく、 先程の足を怪我したカラスよりもずっとマシである。 保護の際に県の保護許可をもらっている。
このカラスも幼鳥のころに羽を骨折して保護されたのだが、 おそらく関節の手術をした際に靭帯の処置を忘れたのか、 関節に問題はないが自発的に動かせない状態になった。 そのため身体のバランスが悪く、よく枝から落ちたりする。 このカラスも、保護の際に県の保護許可をもらっている。
2019年4月21日 改訂版に移行2019年改訂版
2016年12月3日公開